収納

納涼・浴衣のしまい納め

浴衣は着付け次第で若々しくも大人っぽくも演出できる粋なファッション。夏だからこそ楽しめる浴衣デートもそろそろ終盤。思い出と一緒に仕舞う準備に取りかかりましょう。

すはら ひろこ

執筆者:すはら ひろこ

収納ガイド

鯨尺の基礎知識

背が高くなって裄(首の付け根から腕のくるぶしまで)丈が長くなっているけれど、反物の幅は約38センチなので裄を最大限にとっても縫い代があるから68センチ程度。裄も裾もちょっと短めくらいが浴衣はキリリと涼しげに見えます。
鯨尺は江戸時代から和裁用に用いられた物差しですが、未だに使われている現役の寸法です。反物の幅は曲尺の1尺2寸5分=約38センチを1尺としたのが鯨尺です。

ちなみに、センチを鯨尺へ換算するにはセンチ×2.64で計算します。
例えば、身丈160センチ×2.64=422.4 小数点以下を四捨五入すると422になります。これを100の位から順番に、尺寸分に置き換えると4尺2寸2分ということになります。このことを覚えていれば、センチで採寸してから尺寸分に換算して仕立てれば良いというわけです。逆に鯨尺をセンチに換算するには2.64で割ります。私たちは何センチという表現に慣れていますが、何尺何寸といった方が仕立屋さんは寸法をイメージしやすいのだそうです。

着物の大敵・湿気対策

洋服は立体裁断ですが、着物は直線裁断で縫い合わせてその人の体型に合わせて着付けるという緻密で優れた服飾文化です。そして直線縫いで構成されたシンプルな衣服だから、仕立て直して母娘3代にわたって受け継ぐこともできます。ですから永く大切に保管するために、着物を包んで仕舞うためのたとう紙と桐のタンスがあるのです。高温多湿な気候の日本では、保管の敵とも言える湿気対策が肝心。そこで湿気を吸い取り虫除けになる素材として、紙と木が役立つというわけです。

樟脳の原料はクスノキ。そのクスノキチップを引出しに入れたりお部屋に置いたり、天然の爽やかな香りが防虫にも役立ちます。参考商品:くすのきチップ入りバッグ
ことに桐という素材は、軽くて木肌が美しく調湿作用をもっています。梅雨時になると桐のタンスの引出がきつくなったりするのですが、これは桐材が湿気を吸って膨らんだ結果で、そのおかげで余分な湿気がタンス内に侵入するのを防いでくれるのです。逆に冬場になると桐材が収縮して、内部が蒸れないように通気性を保ってくれます。つまり、桐材は日本の気候の中で衣類を守るために呼吸をしてくれているのです。

たとう紙は湿気を吸って黄変したら新しい紙と交換します。こまめに交換することを考えて、手頃な価格のたとう紙を手に入れて虫干しの度に交換すると良いでしょう。防虫剤を入れる際には違う種類を混ぜていれないように。なかには防虫用としてウコンで染めた黄色い布を使っているという人もいるそうです。

虫干しの方法としては、着物を裏返して直射日光を避けて風通しの良い場所で干します。そして、引出の内部を乾拭きして暫く風に当てて乾燥させておきます。時間が無い場合は、たとう紙を広げて着物に風を通したり、引出しを開けておくだけでも実行しておきたいものです。虫干しの時期は湿度の低い10月~11月、1月~2月(寒干し)。晴天が2日以上続いた天気の良い日、10時~14時頃を目安にします。

前置きが長くなりました。それではさっそく浴衣を仕舞いましょう
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