猿は賢く、感情表現もわかりやすく、魅力の多い生き物です。でも、魅力のある生き物だからこそ、猿を飼う前にはよーく考えて欲しいことがあります。「自分は猿を飼えるだろうか?」と、しつこく何度も考えてください。なぜならば、猿は簡単に飼えるペットではないからです。

コモン・マーモセット ベビー
コモン・マーモセットのベビーは通常2匹。3匹産まれたときには乳首が2つしかないため、飼い主が授乳して育てることもあります。

猿を飼うということ

ペットの猿として、リスザルやスロー・ロリス、コモン・マーモセットなどの小型の猿は興味を持たれている方が多い猿だと思います。たしかに、小型ですから飼育スペースの問題などは解決しやすいでしょう。けれども、環境が整えられるからといって飼えるとは限りません。

猿を飼うには、いくつかの問題を知っておかなければなりません。それらの問題を理解した上で猿を飼えるかどうか、考える必要があります。また、小さなペットの中では寿命が長いので、この先十数年努力を続けていけるかどうか、結婚や出産、引越しなど訪れるであろう転機を猿といっしょに進めるかどうか、よく考えてください。

そして、少しでも不安があるならば、どうか猿は飼わないでください。ハムスターやウサギ、犬や猫に比べると猿の新しい飼い主探しは難しく、また、新しい飼い主が見つかっても新しい環境に慣れるのが難しく、猿にとっては新しい飼い主探しは難しい問題です。あなたが興味を惹かれた猿のために、無理をして飼うことはやめてください。

感染症の問題

猿を飼うことを考えるにあたり、1番最初に知っておいて欲しいのは感染症の問題です。猿は人間と同じ霊長類で、私たちと同じ感染症にかかります。たとえば、風邪。人間の風邪はハムスターやウサギなどのペットには感染しません。けれども、猿には感染します。

また、割合としては人間から猿に感染する方が多いのですが、猿の病気が人間に感染することもあります。お互いに病気をうつしてしまうおそれがあるため、衛生面と健康面、どちらの管理も大切になります。しかしながら、猿は犬のようにペットとして作られた生き物ではないため、衛生面での管理に難しいところがあります。

猿は野生的な動物です

小さなペットに興味を持たれている方には、野生動物と暮らすことに興味を持たれている方も多くいらっしゃると思います。猿は、ペットショップにいるけれども、限りなく野生動物に近い、野性的な動物です。飼う場合には、野生動物と暮らすつもりで考える方がいいでしょう。

野生動物は、人間社会のルールは知りませんし、適応したいとも思っていません。あなたが決めたトイレを守ることはないでしょうし、あなたが大切にしている置物や書類などを壊してしまうこともあります。あなたが叱ればあなたに挑んでくることもありますし、牙をむかれた場合、あなたが負けることもたびたびあるでしょう。

芸をする猿をテレビなどで見て、同じようにできると考えるかもしれません。でも、その考えは捨ててください。多くの猿が育つにつれて人間の言うことに抵抗するようになり、中には凶暴になってしまう子もいます。もしあなたが飼った猿が凶暴になってしまい、触ることすら困難になってしまったとしたら、あなたはそれでもその子をいいコンディションを維持する努力をしながら飼い続けることができると思いますか?

野生動物を飼うことは、ペットを飼うこととは違います。「ちょっと変わったペットが欲しい」そんな思いから猿が欲しいと思ったならば、今すぐに飼うことを考えるのを止めてください。

コモン・マーモセット
この子は、初めて親から離された生後約1ヶ月のベビーです。

賢いからこそ難しい

猿は、動物の中でも頭のいい生き物です。だからこそ魅力的で、知るほどに興味を惹かれる生き物なのですが、いっしょに暮らすとなると難しい面が出てきます。

テレビなどで見ることのある、芸をするお猿さんたちがいます。どこかで見る機会がありましたら、彼らの年齢に注目してください。若い子しかいないはずです。

幼いうちは、猿に言うことをきかせることができます。けれども、猿が育ち、大人になると、彼らの意思の方が強く、人間の言うことをきかせるのは難しくなります。それでもうまくコントロールできるような訓練技術を持っている人は、残念ながら日本にはほとんどいません(外国の、介護猿を育てる施設などには、そういう技術を持ったトレーナーさんがいると思われます)。

頭のいい彼らは、自分の好きなように暮らすために、あなたの言うことをきかなくなったり、あなたを自分のために動かすようになったりする可能性があります。あなたが考える以上に猿の方が賢い可能性があることを忘れないでください。

私たちと同じような感情を持ちます

昔、知り合いが猿をペットとして飼っていたことがあります。彼女と猿のエピソードで、すごく覚えているものが1つあります。彼女が当時付き合っていた彼とケンカをすると、猿が彼女に加勢して、いっしょに彼にケンカをしてくれる、というのです。なんて心強い応援団だろうと思った覚えがあります。

猿は、気に入った人間と強い絆を持ちます。たとえば、動物園の飼育係さん。漫画にもありましたが、猿に気に入られた人が飼育係になることが多いそうです。そして、気に入っている人だからこそ、その人の気持ちといっしょになり、その人の行動を共にするようになるのでしょう。

同じ霊長類だからか、猿の感情は私たち人間の感情に近いものがたくさんあります。嫉妬や嫌悪、いじめなど、近いからこそわかりやすい感情があります。猿の気持ちを汲み取れないと、いっしょに暮らすのは難しくなるでしょう。

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