陳列している商品の整理もペットショップの大切な仕事です。 |
彼女たちが学んだこと
この日、ペットワールドさんに買い物に来られたお客さんに、シマリスを購入された方がいました。すべてのペットショップがやっているとは思いませんが、ペットワールドさんは初めてシマリスを飼うこのお客さんに、ケージをセッティングして、飼い方を説明して渡していました。犬を飼ったことはあってもシマリスを飼ったことのない彼女たちは、シマリスのケージを組みたてるのを見るのも初めてだったでしょう。ペットショップにいろいろな工具が置いてあるのに驚いたかもしれません。
ペットワールドさんには、マスコットのブルドッグ、ボビー君がいます。この日は、ブルドッグに興味のあるお客さんがいらしていて、店長さんがブルドッグについて説明していました。
「犬が好き」と思う人は多くいると思います。でも、その犬の特徴や多い病気、飼う際に気をつけることなどを知っている人はあまり多くありません。2人とも動物を好きなことには自信があったと思うのですが、動物に対する知識やその知識をお客さんに伝える能力について、店長さんを見ていてなにか感じたのではないかと思います。
私自身そうでしたが、自分が働くまでは、働くということがどういうことかよくわかっていませんでした。憧れる仕事も憧れる面ばかり思い浮かべていて、実際にどんな仕事なのかはわかっていなかったと思います。今回、彼女たちはペットショップで働くということが接客業であることを学んだと思います。
接客という仕事は、自分が知識を身につける必要があることや、伝えたいことを正しく相手に伝えられないといけないなど、自分に求められるものが多くある職業です。実際にペットワールドさんで店長さんの働く姿を見て、彼女たちは何を学ぶことができたのでしょうか? 叶いませんでしたが、1週間のキャリア教育実践プロジェクトを終えたあとの彼女たちの話を聞いてみたかったです。
好きだけではできない仕事だと、きっと彼女たちは学んだことでしょう。 |
キャリア教育実践プロジェクトへの期待
今回取材させていただいたキャリア教育実践プロジェクトは、中学生だけでなく、もっと多くの方が参加できるといいと思いました。たとえバイトであっても、働きはじめるとそこには仕事への責任が生じます。「どんな仕事なのか体験してみたい」と思っても、体験ではバイトにならないのです。現在、定職につかない若者が増えてきていますが、その理由のひとつには、「自分が何をしたいのかがわからない」ことがあるのではないかと思います。自分が本当にしたいことを見付けるのは簡単ではありません。大人が「これ」と決めたところで、続けられるものでもありません。自分で悩み、探す時間が必要なのでしょう。
今回のキャリア教育実践プロジェクトのように職場を体験できる制度は、自分のやりたいことを見付けるために役立つ事業だと思います。中学生だけでなく、高校生も大学生も、こういった制度があって興味のある仕事を体験できるようになるといいと思いました。
また、是非ともこの事業は継続して欲しいとも思いました。今年この事業に参加した中学生が、この事業で学んだことを発揮できるのは何年もあとになります。それまでに「成果が見えない」からと止めたりせずに、彼らが社会人になる頃に今の同年代の人達とどのような違いがでるのか見えるまで、続けて欲しいです。
もしかしたら、大きな違いは無いかもしれません。でも、働くということがどういうことなのかを少しだけでも経験することができた学生たちが社会人になるとき、わずかではあっても違いはあると思います。学生さんを受け入れる会社も大変だとは思いますが、彼らの将来のために協力し続けて欲しいです。
今回取材をさせていただいて、10年後の日本が楽しみになりました。
☆今回取材させていただいたペットワールドさんのホームページ:
http://members.jcom.home.ne.jp/3383516401/