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飼い主の気持ちと獣医師の常識 残酷なのはどっちなの?

動物病院にかかるとき、獣医さんと自分の考え方や重点を置くポイントのずれを感じるときがあります。小さなことなら問題無いかもしれませんが、もしそれがペットの命に関わることだったら、あなたはどうしますか?

執筆者:村田 亜衣

動物病院にかかるとき、獣医さんと自分の考え方や重点を置くポイントのずれを感じるときがあります。
小さなことなら問題無いかもしれませんが、もしそれがペットの命に関わることだったら、あなたはどうしますか?

▼ある飼い主の話
あるところに、犬を飼っているご家庭がありました。
小学生のお嬢さんが2人いる4人家族です。
飼い始めたときは犬が楽しく、毎日幸せいっぱいで過ごしていたのですが 犬が成長するにつれ問題が出てきました。
飼っていた犬に攻撃性が出てきたのです。

事前によく調べなかったからと言われてしまえばそれっきりかもしれませんが、 飼っていた犬は犬種的に攻撃性の強い種類。
それを知らずに甘やかして育ててきたので、出るべくして出た攻撃性と言えるかもしれません。
そして、事件は起きました。

ご飯をあげるときにお嬢さんが噛まれました。
噛まれた手からは出血があり、変色して腫れあがり、お嬢さんは犬を怖がるようになりました。

散歩のときにお母さんが噛まれました。
他の方を噛んではいけないと思ったので、これ以降口輪をして散歩するようになりました。

予防接種でかかりつけの動物病院に行ったとき、獣医さんを噛んでしまいました。
そして、獣医さんからしつけや訓練について説明をされたのですが、 すでに何度も噛まれていることから自分達でしつけをする勇気が出ません。
訓練所に預けることも検討しましたが、たまたまでしょうが、問い合わせをした訓練所は 雰囲気が合わず、また、犬種を話し、すでに噛まれていることを話すと、いい返事ももらえませんでした。

どうしたらいいのかわからなくなり、この方はペットのボランティアをやっている人に相談しました。
そこで教えられたのは「犬歯を切る」という方法。
「最後の手段に近い方法だけど、犬歯を切ることで犬に対する恐怖心がやわらげばしつけをする気にもなるし、やりやすくなるので獣医さんに相談してみてはどうでしょう?」
そう言われたのです。

犬歯を切るなんて乱暴な。
そう思ったものの、なんとかしてこの犬と問題無く一緒に暮らす方法を考えていたこの家族は、これもひとつの方法かもしれない。そう思うようになりました。
そして、獣医さんに相談しました。
噛まれてもひどく痛まないのであれば、私たちでなんとか改善できるかもしれない。
そう思ったからです。

しかし、獣医さんの答えは予想しないものでした。
「犬歯を切るなんて残酷な!そんなことをするくらいなら安楽死させましょう。」

このとき、このご家族は理解できませんでした。
安楽死というのは犬を殺すことです。
どうして、犬歯を切ることが殺すことより残酷なのでしょう?

そう思い、獣医さんに聞き返したのですが、獣医さんは意見を変えません。
犬歯を切ることの方が残酷だと言うのです。

最初のお嬢さんが噛まれてからすでに半年近く経過しており、 犬のことで疲れ果て、行き詰まっていたこのご家族は、 最終的に獣医さんの意見を選択しました。
犬を安楽死させたのです。
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