熱帯魚/熱帯魚の飼い方

苔の種類とその対策!アクアリウムを綺麗に保つには

藻類を抑制するには、まず藻類について知ることから始まります。ここでの内容は、すべて私自身が経験し、試したものばかりです。苔で悩んでいる方のためにその種類と対策についてご紹介します。アクアリストの方はぜひ参考にしてください。

長谷川 秀樹

執筆者:長谷川 秀樹

熱帯魚ガイド

苔の種類を知り、対策しよう

苔の種類とその対策

苔の種類とその対策

熱帯魚を飼育をしていると必ず、様々な色、形をしたコケが発生してしまいます。ある程度は仕方がないものの、余り大量に発生するようでは考え物。何より美観を損ねます。

多くのアクアリストがこのコケ対策に、日夜苦労しているのではないでしょうか。

実は、私達がコケと呼んでいるものは、厳密には原始的な下等植物の「藻類(そうるい)」というものになります。本来の意味でのコケとは、杉苔やシノブゴケ、馴染み深いところではウィローモスなどのことで、本来は蘚苔類(せんたいるい)という別のグループになります。ウンチクとして覚えておくのも悪くありませんが、趣味の世界なのでどちらでも構わないでしょう。
 
<目次>
 

コケの発生原因

コケが大量発生するには、幾つかの原因が挙げられます。
  • 魚の入れすぎ
  • エサのやりすぎ
  • 底床やろ過器の汚れ
  • ろ過が上手くいっていない
  • 直射日光が当る
  • 照明の照射時間が長い
  • 肥料の入れすぎ
  • 水質がアルカリ性

などでしょうか。ほとんどが根本は同じ原因で、コケの栄養になるものが多いからコケが発生するのです。逆にこれらのことに留意すれば、コケを防ぐことは可能です。

先にも少し触れましたが、コケは植物の仲間なので、栄養塩(窒素、リン、etc)を吸収して成長し、葉緑素の働きで二酸化炭素と光を利用してエネルギーを作り出す(光合成)事ができます。また、環境が悪く生育が出来ない期間があったとしても、胞子として存在する事ができるのも大きな特徴です(例えば、塩素で殺菌された水道水の中にも、コケの胞子は存在します)。

コケと水草との違いは、その体の組織構造に有り、より単純な組織構造のコケは、環境への適応能力に優れ、条件が合うと爆発的に増殖してしまいます。そして、一度発生すると、なかなか完全に駆除することが難しいのも特徴です。

では、どのようにしてコケの発生を抑え、また駆除するか。水槽内で良く目にするコケの種類と対策を、いくつか写真と共に解説していきます。
 

茶ゴケ/珪藻(けいそう)

 
珪藻(けいそう)
茶ゴケ(珪藻):ろ過が落ち着けば、やがて消滅してしまうことが多いので、それほど神経質にならなくてもよい。
水槽を新しくセットした時に、必ずといってよいほど発生するのがこのコケ。その他にも、ろ過器の掃除をした、底床をかき回した、照明時間が長すぎる、などの条件でも見られます。

水槽が落ち着くことで、やがて消えてしまうことが多いため、ろ過細菌と競合しているのでは?とよく言われます。

水槽セット初期の段階でオトシンクルス、プレコ巻貝など、茶ゴケ(珪藻)を好んで食べる生物を入れておくことで、予防が可能です。もちろん発生後に入れても、効果的です。また簡単にふき取ることができるので、水換えの際にスポンジなどでこすり取ると良いでしょう。
 

糸状藻(しじょうそう)

 
糸状藻(しじょうそう)
糸状藻(しじょうそう):付着力が強く、水草などに付着したものは、人為的に取り除くことが難しい。付いている部位ごと、取り除くのがベスト。
細長い糸状だったり、糸くずの塊みたいと、その形状は様々です。主な発生原因は、飼育水の富栄養化、照明時間が長い、ろ過のバランスが崩れた、などが挙げられます。このコケも駆除は容易な方で、エビ類(特にヤマトヌマエビ)の導入が効果的です。

エビほどの効果は期待できませんが、ペンシルフィッシュの仲間ブラックモーリーなども、このコケを口にします。

発生してしまったら、これらの生物に駆除してもらいつつ、併せて抜本的な対策も施します。

規則正しい照明の管理と、水量に対し適当な数の魚、食べ残しのでないエサやり、定期的な水換え、ろ材のメンテナンスなどに留意します。駆除を目的とした場合よりも少なめに、エビの仲間を予防的に入れておくことも効果的です。必要以上に入れてしまうと、逆に水を汚す原因になりかねないので、60cm水槽に10匹前後(ヤマトヌマエビで)が適当でしょう。

注)富栄養化=水中に様々なイオン、有機物などが過剰に溶け込んだ状態。

 

藍藻(らんそう)

 
藍藻(らんそう)
本当は、コケでも藻類でもなく、シアノバクテリアという細菌の一種。
濃緑から黒、赤紫などの色彩をした、アメーバ状のコケ。付着力は弱く、剥がすように駆除ができます。しかし、極めて繁殖力が強く、取り除いても直ぐに再発してしまいます。一度発生すると根絶が難しく、特に対策が厄介なコケです。カビ臭い異臭があり、その性か藍藻を口にする生き物はほとんどいません。

ガラス面と砂利の間などの、淀んだ場所にもよく発生し、こちらは種類が違うのか爆発的に増えることはありません。

まめに取り除いても効果がない場合、以下の方法を試してください。

 
  1. 目に見える部分は、全て取り除きます(石、流木に付着している物は洗い流し、水槽から取り出せない部分は、ホースなどで吸い取る)。
  2. 水槽のガラス面を新聞紙などで覆い、光を遮断したうえで照明を1週間程消しておく(餌を与える必要がある場合は、1日2~3時間照明を点け、その間に与えます)。
  3. 1週間後、水槽の覆いを取り、弱った藍藻を取り除きながら半分ほど水換えを行い様子を見る。
  4. 症状がひどい場合は、上記の作業をもう一度繰返す。

水草が状態よく繁茂した水槽では、発生が押さえられる傾向にあります。水草が、何か抑制物質をだしているのでしょう。木酢液の適量添加も有効のようです。
 

ヒゲ状藻(黒ヒゲ藻)

 
ヒゲ状の藻類【alt】
ヒゲ状藻:ろ過器の給水パイプを覆いつくした、ヒゲ状藻。強固に活着している。
時間の経過した水槽によく発生し、成長の遅い水草や器具などに強固に活着し除去が難しい。ろ過器の出水パイプなどの、流れのある場所にもよく出現します。

色彩は、黒から茶、緑色までと若干バラエティーがあるが、形状は毛足の短いヒゲのよう。

底床やろ過器の汚れに比例して増える傾向があるので、硝酸塩の蓄積との因果関係が疑われますが、詳しいデーターが無いため詳細は不明です。

生物による駆除は殆ど期待できませんが、空腹時であればヤマトヌマエビ)が口にします。

器具に付いたものはタワシなどでこすって取り除く。流木や石に活着したものであれば、熱湯をかけて枯死させてから、こすれば簡単に取り除けます。ガラス面に付いたものは、スクレーパーなどを利用してこそげ落とすと楽に取り除けます。

底床やろ材が古くなり過ぎないよう、定期的なメンテナンスを心掛ければ、大量に発生することはほとんどありません。また、木酢液を塗布することで、除去することも可能です。

 

アオコ(グリーンウォーター) 

アオコ(グリーンウォーター)
アオコ/青子(グリーンウォーター)
記事「アオコによる水の濁り」で詳しく解説してありますので、そちらを参照してください。


以上簡単に水槽内によく発生するコケの種類と対策について解説しましたが、やはり一番の対策は、コケの発生しにくい環境を整えることです。その多くが、一度発生してしまうと、なかなか根絶が難しいものです。

貧栄養、規則正しく適切な照明時間、水槽に対して適当な飼育数などに留意して、駆除よりも予防を心がけてください。水草を良い状態で育てることも、コケの抑制につながります。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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