市民ボランティア
一般市民のボランティアさん |
アメリカでは経験による活動実績が重視されますので、若いうちから学活以外にボランティア活動することは当然と認識されています。
また仕事をリタイアした人たちは、自分の経験と知識を社会に役立てる事に高い意識を持ち積極的にボランティア活動に参加しています。
このような行政管理の場所に、一般市民がボランティアとして参加できるということは、ある意味行政のやり方を監視することができます。そして、お互いが協力し合って動物と人の健康、安全、福祉を守るための活動に協力できることは大変すばらしいと感じました。
シェルターで働くボランティア以外に、出産したばかりの母猫や子猫、病気や怪我の回復に時間が必要な猫、また人と暮らすための社会性を覚える必要がある猫などをシェルターに戻すことが可能と判断されるまで、自宅で面倒を見るボランティアが多数います。
その間に必要な子猫のミルクや食事代は全てボランティアの負担です。付属の病院に連れてくることができるれば、医療費はかかりませんが、もし自宅近くの動物病院に連れ込んだ場合は医療費も個人の持ち出しとなります。
特に春から夏にかけて、乳離れしていない子猫が持ち込まれる時期は、在宅ボランティアが大忙しのシーズンです。子猫は離乳して体重が3lbs以上になって、不妊/去勢手術しないと新しい飼い主を捜す対象にはならないからです。
在宅ボランティアは、ただ預かるだけでなく、個人的にも新しい飼い主を探す活動も行います。
MCASでのボランティア登録には
・18歳以上であること
・動物を扱った経験があること
・動物にとって適切な宿泊所の用意ができること
・意欲があること
・世話をするのに必要な金額の提供ができること
などの条件があります。
またボランティアの活動では
・家族の一員として歓迎されること
・清潔で安全な環境
・病気の蔓延を防ぎ、適切な治療を受けさせることができる
・食事
・水
・寝床
・トイレ
・ノミ駆除
・猫用ミルク
・運動・社会化トレーニング
・治療費などの費用をシェルターは持たないので、全てボランティアの自己責任と持ち出しになります。
付属病院 |
・ヘルスケアサービス
・不妊/去勢手術
・ワクチン接種
・必要と思われる薬物治療
などのサービスが提供されます。
シェルターと、そこから新しく飼い主になる人は「このままだと殺されてしまう可哀相な動物だから引き取ってあげよう」ではなく、「自分のライフスタイルにあった動物とこれからの生活を楽しむために出逢いを求める」、という意識の方が高いように感じました。
私は、これが「捨てる」を減らすための非常に重要なキーポイントになると思いました。
入り口近くの掲示板には、様々な別の施設で新しい飼い主との出逢いを待っている動物の情報が張り出されています。
官民一体となって、ひとつでも多くの動物の命を救おうと努力している姿がそこかしこに見えました。
東京都に限って云えば、愛護センターはとても不便な場所にあり、気軽に新しい家族を探しに行こう、と思って行ける場所とは思えません。
新しい飼い主になるための心構えなどの指導も行われていますが、欲しいと思う人が日時を選択できませんし、個人のライフスタイルまで考えた指導は行われていません。
譲渡される猫の不妊・去勢手術やマイクロチップの義務化もされていません。
東京都だけでなく、全国の自治体が殺処分数を減らしていこう、という方針・計画を打ち出していますが、実際にそのためにどんな努力がなされているのか、今ひとつ具体性に乏しく感じます。
もっと利用しやすい場所や方法と、新しく動物を迎えたいと思ったときに愛護センターから引き取ることができる、とみんなが認識できる環境作りを目指せないものか、と思います。
また、日本でも行政管理の施設に民間ボランティアが入って積極的に協力できれば良いな、と思います。
官でなければできないこと、民の方ができること、それぞれに得意分野があると思うので、何とか官民が協力し合って一人でも多くのねこさんが新しい家族と出会える場所を提供できないか、と思うのです。
■次回は民間シェルターOregon Humane Society(OHS)のレポートです。
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