それぞれの動物の適性にあわせて、役を担うことで社会の一員となる
「犬が大嫌いという人は14%。犬が怖いといっても、実際にかまれたりして本当にイヤな思いをした人はそのうちのわずか2%にしかすぎません。
大嫌い、という人の中には、汚い・危ない、という思い込みもあるでしょう。」
柴内先生はJAHAの活動で、介護施設や老人ホームなどに犬や猫を連れて慰問活動をすでに700回以上行われています。
その間には一度も事故が起きていないし、アレルギーなどのトラブルも発生していないそうです。
起きあがることもせず、天井を見つめたまま無言で表情のなかった老人が、犬を介して手を伸ばし、やがて自分で洋服を着替えようとするまでになった、という感動的なお話も伺いました。
「人は動物が側にいると自然に表情がほぐれて、笑顔となり、身体をかがめて能動的になります。」
「小さいときから動物を暮らすことでアレルギーの子供の数が減った(スェーデン)という研究や、4~7歳までに、2頭以上の犬と暮らした子供はアレルギー発生が少ない(アメリカデルタ協会 ローレンス・ンーベル)という論文発表があります。」
「コンパニオンアニマルの定義は
・人と動物の共通感染症がわかっている
・行動学や習性がわかっている
・家族の一員として医療が受けられる
ことです。
何千年も人類と共に暮らしてきた動物たちが側にいるのです。」
伴侶動物を失うこと その悲しみ
第二部の講義:『ペットロス=動物との別れ』 |
「ペットロス=動物との別れ、という言葉を誤解している人が多いです。
ペットロスは動物に依存しすぎていて、自分の子供であり親であるペットを同時に失ってしまったような感覚になってしまいます。
でも、ペットロスを勘違いしないで受け止めましょう。」
「動物は老いを恐れないし、老後の心配をしません。
しかし、飼い主は『やがてこの子は年をって死んでしまうんだ』と心配して落ち込む、と、それがペットに伝わる。
これはよくありませんね。」
「一緒に暮らしているうちから『死んだらペットロスになる』というのはおかしな話ですよね。
ペットロスで心身を痛めてしまうことは、けなげに生きた動物たちに申し訳ないこと。
動物たちは、どの場面を一番喜んでいたでしょう。
心も体もだめになるのはペットロスという状況ではないはずです。
命の預かり主として、どんな別れをするか心にとめておく必要があるのです。」
「誰もが老いる。
誰もが別れる。
残していくことはできないのです。」
「大切な命は永遠ではなく、必ず迎えなければいけない別れ(死)があります。
それまでにできることをしてあげましょう。
・老化の防止
病気で手術ができないことはあっても、年齢(がいっている、という理由で)で手術ができなくなることはありません。
マッサージして、話しかけてあげて、年寄り扱いをしないこと。
老化防止の食事やサプリメントを考えてあげるのもよいでしょう。
よく遊んであげて、(その子の性格的に問題がなければ)若い子を迎え入れる。
でも、急に環境を変えないように。
毎日のリズムを変えないことが必要です。」
「別れを自然に受け止めて欲しい。
別れの日は、出会った瞬間から始まっている、その覚悟を持って共に暮らしたことを感謝し、見送る命にとって最良の預かり主でありたいものです。」
常日頃、私自身も同じようなことを考え猫たちと同居しています。
今はもう私の横にいない猫たちのことを考えると、未だに身体の中に大きなしこりがあって、泪がじわっと。。。
でも、彼らと出逢えて良かった。本当に幸せだった。と思うことで、そのしこりも暖かく感じることができます。
私は、今いる同居猫たちをすべて見送らない限り倒れるわけにはいかない!と肝に銘じています。
どんなに体調が悪くても仕事が忙しくても、猫たちが待っているから、とご飯を用意してトイレをキレイにします。
彼らがいてくれることで、自分自身が生かされているんだな、と実感できます。
別れが悲しいのは当たり前。
でも、別れの日が来ることを怯える日々ではなく、一日一日、一緒にいられる幸せを感謝してきたいです。
そう感じさせてくれることが、猫との生活の幸せなんだな、と改めて感じることができた心にしみいる講演でした。
柴内先生、ありがとうございます!
JBVP年次大会2007は来年9月21~23日に、ホテルニューオータニ東京で行われます。
今年参加できなかった皆様、是非来年こそは!
そして、今一度、あなたと動物たちの関係をじっくり考えてみてください。
展示場の様子 |
動物に関わるたくさんに企業がブース出展 |
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■参考リンク
日本臨床獣医学フォーラム
赤坂動物病院
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