受付の様子 講義が始める前は人人人… とても写真が撮れる状況ではなかったので 終了間際に撮影 |
今回の記事タイトルの『もっと考えよう 伴侶動物との暮らし』は9月15~17日にホテルニューオータニ東京で開催された「第8回 日本臨床獣医学フォーラム年次大会2006」のメインテーマです。
「第8回 日本臨床獣医学フォーラム年次大会2006」の講演プログラムテーマは『どうぶつにやさしい医療』。
動物医療は素晴らしい進歩を遂げてきていますが、多種多様な動物が相手で、また病気によっては完治が望めない場合があります。
『治療が病気・症状に対して行われるのか?
それとも患者に対して行われるのか?という命題。』
『完治を目指す治療と緩和やクオリティーライフの向上・維持を目指す治療がある』
動物と飼い主の『「絆」にとって最良の治療を優先』
※年次大会セカンドアナウンスより抜粋
治療だけを優先させると、中にはひどい副作用で苦しむことも。
それが完治につながる治療であれば、飼い主も獣医師と心を一つにして続けることができるでしょうが、苦しむ動物の姿を目の当たりにして治療を断念する飼い主もいます。
人間であれば、どのような治療を行い、それにどんな副作用が伴う、でもそれを克服して病を治したい、と自分で納得できますが、言葉の通じない動物には病気の治療のために我慢しましょう、が通じません。
獣医師がひとりで病気と闘うのではなく飼い主と二人三脚で治療を行い、動物自身の体も病気と闘う体勢を整えられることが、今後の動物治療に求められます。
「第8回 日本臨床獣医学フォーラム年次大会2006」には、これからの獣医師に求められる『どうぶつにやさしい医療』というコンセプトに基づいた講演がたくさん用意されていました。
私はこのフォーラムに今年で7回目の参加。
獣医師、獣医学生、VT(動物看護士)、そして一般市民の参加が年々増え、ますます充実した中身の濃い年次大会でした。
※年次大会2005の開催報告より抜粋
[ 会 期 ] 2005年9月16日~9月18日
[ 場 所 ] ホテルニューオータニ東京
[ 参加人数 ] 獣医師1643名,VT637名,学生563名,市民 675名
計3518名
※この人数は参加延べ人数ではなく、登録者数です。
[ 協賛企業 ] 協賛企業・協力団体118社 893名
プレス取材参加者数31名
日本臨床獣医学フォーラム(JBVP)は
1998年5月に、フォーラム設立の理念と目的「充実した継続教育と真摯な科学的議論を通じて、人と動物の絆を大切にする社会が求める獣医師となり、人と動物の幸せのための伴侶動物医学を実践し発展させることで、社会に貢献する」を掲げて設立されました。
※2006年次大会プログラムより抜粋
獣医師になるためには、獣医学科のある大学を卒業して国家試験を受け獣医師免許を取得する必要があります。
獣医師の仕事は様々で、獣医師免許を持っている獣医師が臨床獣医:動物病院のお医者さん:になるわけではありません。
現在動物病院で診療に関わっている獣医師は、獣医師免許を取得している約3割です。
動物のお医者さんとして活動している獣医師が必要とされているにも関わらず、現在の大学では細かな臨床に関する教育が追いついていない状況だと聞いています。
日本の獣医学科では畜産産業に関わる講義が中心で、現在のように小動物の臨床に携わりたいと希望する学生は、獣医師免許を取得後、動物病院で諸先輩先生につき様々な症例を診ながら経験を積んでいくしかありません。
獣医学は近年のペットブームなどの影響もあり、多様化するペットの対応や、新しい技術、新薬、新技術など、日々進歩しています。
大学時代に、最新の臨床獣医学に触れる機会が少ないまま獣医師になった方々は、自分のアンテナを張り巡らせて自主的に勉強を続けなければいけないのです。
日本臨床獣医学フォーラムは、どん欲に新しい知識を求める獣医師たちに最新の情報を提供し、そして獣医師の手足となって働くVT(動物看護士)のプロフェッショナル化のための教育、そして飼い主に動物との関係を提案…など、多様な活動を積極的に行っています。
年次大会には、Vet(獣医師)・VT(動物看護士)・大学教員・獣医学生・VT学生という区分と、一般市民が参加できる特別プログラムと市民プログラム、企業展示が用意されています。
私が今年の年次大会の中で、特に心に残ったプログラムを今回の記事でご紹介します。
※このプログラムは一般市民も聴講できるものでした。
フォーラム代表 石田卓夫先生 |