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ネコに選ばれた人たち2-格闘技ガイド井田さんちのネコ

ネコは自ら、自分の住処と同居人を選びます。同居人を自分向きにカスタマイズし、より居心地の良い家を作り上げます。そんなネコに選ばれた人たちとネコさんとの生活をご紹介!

岩田 麻美子

執筆者:岩田 麻美子

ネコガイド

井田さんの同居ネコさん
第2回目のゲストは、
オールアバウト格闘技ガイドでもお馴染み、
井田さんの同居ネコさん
「オレって、ほら、見かけ通り優(やさ)ネコなわけ。あんまり世知辛い競争とか判んないのよね。だから、ひとりぼっちになった後、どうやって飯の調達するとか、全然わからなくてさ。ほんとにひもじかったよ。あのときは。寒いし、ひもじいし。もう駄目かな、っ思ってたときに、そこの大将に会ったわけさ…」

今回“居心地の良い住処”を手に入れ、インタビューに答えてくれたのは、オールアバウト格闘技ガイドでもお馴染み、井田さんの同居ネコさんです。

最初キャリーバックの中から頭だけ出して、インタビューに答えてくれたのは小顔で、確かにとても落ち着いた優しげな表情のネコさん。

Q:同居のきっかけは?

井田さん:彼は無口なんで、代わってワタクシがまず状況説明を(笑)。そもそも彼が最初にウチに来た頃、僕が住んでた部屋の廻りには、たくさんノラネコの方々が住んでらっしゃいましてね。『んじゃ、先住民の皆さんにご挨拶代わりに』ってんで、余りものを献上してたりしてたんですね。でも、彼らを拾うっていうか、ウチに入れたりするつもりは金輪際なかったんです。

元々ネコにはネコの生活があるわけで、それに人が必要以上に関わる必要あるのかなと思ってましたし。そもそも“動物の主人”って考え方自体に抵抗があって。外にいるネコたちも、それぞれ頑張って毎日を生きてるわけで、野良は野良でいいじゃないかと。僕も自由業ですからね。御同輩なんですよ。誰かがいきなり出て来て「飼ってやる」とか言い出して拉致されても、ぜーったい抵抗しますよね(笑)。時々食事を出したりしてたのは、あくまで“近所のよしみ”で「お互いがんばろうな」みたいなエールってとこで。

井田さん、ネコさんに惚れてますにゃ
井田さん、ネコさんに惚れてますにゃ

喫茶店でお会いした井田さんは、ガイドの紹介写真とイメージが少し違い、『この人が格闘家さんじゃないの?』風のスキンヘッドのガタイのいいオジさん。でも、バッグの中から顔を出すネコさんに向ける眼差しは、トロトロです。

井田さん:こいつは、ウチに来る以前にも何回か見かけた記憶があって。その前後に近所で取り壊しになった一軒家があったんですけど、多分そこで飼われてたと思うんですね。一家が立ち退いた時に置いて行かれたか何かで“社会の荒波”に漕ぎ出すことになったんじゃないですかね。遅ればせながらの“社会人デビュー”ってやつで(笑)

コイツがウチに来た日、ちょうど、こっちは常連のネコに献上するつもりで、賞味期限一杯のミルクなんかを持って外に出たばっかりで、鉢合わせみたいな感じで彼が近くに居て。皿に注いでやったら、物怖じもしないでちょろちょろーって寄って来て。

普通、野良っていうのは警戒心が強くて人間の姿が見えてる間は、なかなか手を出そうとしないじゃないですか。仮に我慢できなくて食べだしても、一口服んでは下がって威嚇、みたいな。ところがコイツは元飼いネコの強みなのか、人間にまるで警戒心がなくて。だから、餌の匂いに釣られて無防備にひょこひょこ出て来ちゃったんじゃないですかね。僕がネコ捕りのオジさんだったら、今頃間違いなく三味線の皮ですね(笑)

人に警戒心がないってことは、置かれた状況の判ってないダメな奴ってことでしょ? 実際、要領悪かったんでしょうね。もう餓死寸前ぐらいにガリガリに痩せちゃってましたから。ネコのえさ場争いの中では全然前に出られなかったんだろうなと。

1ヶ月くらい満足に食ってなかったんじゃないかと思います。ロクに泣き声も出せないぐらい弱ってましたし、目ヤニだらけで全然開かなくなってたし。鼻も風邪引いててグシュグシュしてて。パッと見て、とてもじゃないけどコイツはこの冬は越せないなと思いましたね。ウチに来てた他の常連とかは、もっと目付き悪くて毛並みも汚いし、怪我だらけの猛者ぞろいなんですよ。でも、きっちり太ってましたからね。野良ネコ界で、身体張って生き抜いて来た勝者なんだなと一目でわかる(笑)

また、間の悪い事にこのタイミングで、その“勝ち組先住民”が現れちゃって。どエラい威嚇の声を出してるわ、背中の毛なんか逆立ってて(笑)こりゃケンカになるな、袋だたきだなとか思ってハラハラしてたら、こいつはミルクを半分方平らげて、「じゃ、寝まーす」みたいな感じでウチに上がり込んでくるんですよ。この修羅場目前という状況に、イケ図々しいというか、呑気と言うか、全然状況わかってない(笑)なんかあんまりにも当たり前そうに「あー、食った食った」とかそんな感じで玄関に寝そべっちゃって。一方、“先住民”の方は「シマ荒らししやがって、ぶっ殺す」ぐらいのテンパった勢いでしょ。ここで「仁義なき戦い」をやられちゃたまらないんで、平和主義の僕はドアを閉めるしかなかったという(笑)二年前のクリスマスイブの日の話ですよ。出来過ぎでしょ。でも実話(笑)。

で、一日身柄を預かってはみたものの、ずーっと風邪引いてて鼻水ダラーでしょ。あまり具合悪そうだったんで、動物病院に連れて行ってみたら、風邪はネコエイズのキャリアで抵抗がないからだって事で、抗生物質出してもらって。でも、じゃ、よかったな、あばよ、とは行かない。ネコは自分で薬飲まないですからね(笑)。“エイズを他所のネコに移しちゃう可能性もあるから、もう出しちゃダメですよ。今年は寒いんだから、飼うんでしょ? 当然飼うんでしょ? ”みたいに先生も既成事実にしちゃってモノ言うし(笑)とりあえず去勢手術してもらって、あとはズルズルってかんじですね。

ウチの部屋はペット不可でしてね。でも事務所がわりにもしてて引っ越すに引っ越せない。結局別にペット可の部屋も借りるハメになって。普通、あり得ないでしょ“ネコ用の別宅”(笑)ネコ餌もタダじゃないし、ネコには国民健康保険は効かないし。扶養家族の控除もないし。いつの間にかワルい友達の身許引受人にさせられて、どんどんカモにされてる感じだなぁ(笑)

って、笑う井田さんの笑顔、最高ですにょ!

次のページは、井田さんのネコへのこだわりとは?

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