新しいネコと先住ネコの「ニオイ」の関係
アナタ、いつもとニオイが違いません? |
新しい環境に、別のネコ=先住ネコ=がいた場合、ネコ同士は視覚だけでなく、嗅覚でも相手を確認しようとします。
相手が通った後のニオイを確認して、その上に自分のニオイを付けて、そこが自分の縄張りである=安心できる場所=だと確認したがります。部屋の特定な場所にマーキングしたり、足裏からでる分泌物を擦りつけて、自分のテリトリーのボーダーラインを引いて回る子もいます。
双方が不妊手術を行っていない、性成熟しているネコであれば、スプレーをかけて回ることがあります。スプレーは一番強烈に自分の存在を誇示できる手段だからです。
非常に縄張り意識が強いネコの場合は、不妊手術を行っていてもスプレー行為が始まることがあります。
生後8ヶ月(性成熟前)に去勢手術を行った子がいました。
その子が生後10ヶ月の頃、生後3ヶ月のオスの子猫が2匹仲間入りしました。
先住ネコと子猫たちはすぐに仲良くなり、先住ネコは子猫たちを自分の子供のように抱きかかえ、かわいがって面倒を見てくれました。
しかし、1匹の子猫が生後8ヶ月を過ぎた頃、(私には全く感知できませんでしたが)先住ネコはその子猫がオスとして変身中であることを敏感に察知し、ある日突然その子を襲いました。
どちらもケガはしませんでしたが、部屋中に毛が飛び散って大騒ぎになりました。
その後子猫の方は膀胱炎に…大きなショック(ストレス)を受けたようです。
そりゃそうですよね。それまでは、まるでお母さんネコのように(オスですけど)面倒を見てかわいがってくれていた先住ネコに襲われたんですから。
派手な取っ組み合いはその1回だけでしたが、それ以降、先住ネコは辺り構わずスプレーをかけ始めるネコになってしまいました。
性成熟前に去勢手術していたにも関わらず、縄張り意識の本能が強かった先住ネコは自分と同じ縄張りに別のオスネコがいることに、猛烈な憤りを感じたのでしょう。
先住ネコを、ネコを飼っていないご近所の方の家に預かってもらったら、ピタッとスプレーが止まりました。
最初は「1週間だけ預かってみますよ」といわれたんですが、結局気に入られて、そのまま…
彼は最後まで1匹飼いで幸せな生涯をおくりました。
ネコの中には、どうやっても他のネコとの共存生活に折り合いをつけることができないタイプもいるようです。
そんな強烈な縄張り意識を持ったネコを別にすると、通常は先住ネコと、新人ネコがニオイつけ合戦を繰り返し、そのうちお互いのニオイが混ざり合って、それが今度は安心できる『我が家の・我が家族の』ニオイとして認識されていきます。
徐々に距離が近づいてくると、ネコ同士はお互いの肛門のニオイを確認しあいます。
至近距離に近づける関係ができあがると、頭や身体を擦りつけ、ニオイの交換に励みます。ニオイの交換=認識は、何度も何度も…毎日繰り返されます。
この時見せるネコの性質も、すり寄られるのが好きな子、自分からすり寄っていく子、舐められるのが好きな子、舐めて回るのが好きな子…相手を同居ネコと認識しても、あまり近寄りたがらない子…と様々です。
他のネコの目があるときは、飼い主のことを無視したり、そっぽを向いたり、同居ネコに非常に気を遣う仕草をする子もいます。
また、反対に他のネコがいても、気にせずヒトにまとわりつき、撫でられることを要求…。そんな子はネコ社会において、図々しいヤツ=ちょっとお偉いさんかもしれません。
『我が家の・我が家族の』慣れたニオイの所に、もし新しい嗅いだことがないネコのニオイが混ざると、コミューンは一時パニックを起こし、全員でまたニオイを付け周り、元のように落ち着くまで時間がかかります。
ただ、ガイド宅の場合は新人ネコが子猫の場合、先住ネコたちは新人が混ざり込んだことにまったく気がつかない事もあります…。あまりにも、ネコの数が多すぎるせいか?それとも、新しい仲間が増えることに慣れてしまっているのか…?
メインクーンは、あまり縄張り意識の強いネコ種ではないので、性成熟以降のオスネコ同士でなければ、新入りさんが増えても大きなトラブルが少ないようです。
ちょっと乱暴な手段ですが、先住ネコと新人ネコを早く慣れさせるために、同時に同じシャンプーを使い洗ってしまう、という方法があります。
シャンプーされたネコたちは、一時的に双方同じニオイになりますし、自分のニオイを自分に付け戻すのが忙しくて、お互いを敵視してる暇がなくなります。そんなこんなをしているうちに、相手が見知らぬニオイのネコであったことを忘れてしまうでしょう。
とにかく、ネコはニオイを非常に大切にする動物ですから、兄弟から離れて1匹だけで飼い始めるときは、その家のネコたちのニオイがついているもの=タオルやトイレの砂など=をもらってきて、安心させてあげてください。
次回はフェロモンに反応するネコの第三の嗅鼻器官についてです。
■-----ガイドのその他の記事はこちらです!-----■
サマーカットしてみます…か?
真夏のネコの健康管理
大きな地震が起きたら!
■-----------------------------■