顔の大きさに比べると大きく 少し前に突出した目 |
この愛らしい:時に様々な騒動を引き起こす:小さな、フワフワした毛で覆われている(無毛のネコもいますが)暖かい生き物は、どんな世界に住んでいるのでしょうか?
人の側にいることを好む家ネコと呼ばれる種族は、この世界をどんな風に見て、聞いて、匂って、味わって、感じて、生きているのでしょうか?
私たちはネコと同じ空間を共有していますが、ネコは私たち人類とはまるで違う世界を感じています。
ネコの五感(+もしかして持っている?別の感覚?)とネコの身体についてより深く知り、想像力を働かせて、今横で寝ているネコの世界をもっと身近に感じてみませんか?
今回からお届けする『猫が住んでいる世界』の第1回目は、「ネコが見ている世界-その1.ネコの目と視力」です。
ネコの目の形と位置の意味
ほとんどのネコは顔に比例すると非常に大きな丸い目を顔の前面に持っています。
目の形は顔かたちによって少しずつ違いがあり、三角形の顔(シャムネコなど)のネコの目はつり上がった(切れ長気味の)アーモンド型で、丸顔のネコ(ペルシャネコなど)は丸い目型をしています。
シャム猫やヒマラヤンのようなポインテッドカラー(顔の中心・耳先・手足の先・シッポの先などの身体の端部分に濃いカラーが入っている、またはその反対にそれらの部分の色が白く抜けている)のネコの目色はブルーです。
白ネコにもブルーアイの子がいますが、白ネコでブルーアイの場合(すべてがそうではありませんが)耳が聞こえないことがあります。
若い頃はちゃんと聞こえていても、年齢と共に耳が聞こえなくなる白ネコもいます。
※ブルーアイの白ネコと聴力の関係は、また別の記事で。
ポインテッドカラーのブルーアイ |
金目銀目:オッドアイの白ネコ |
金目・銀目などとよばれる左右の目の色が違うオッドアイも白ネコに見られます。
ポインテッドカラーと白ネコをのぞくと、ほとんどのネコは親からの遺伝子や毛色に準じた目の色(虹彩)を持っています。虹彩の色はメラニン色素の量で決まり、多いと茶色~黒っぽい濃い色に、少ないと青や灰色など薄めの色になります。
薄いイエロー~ゴールド~カッパー(銅色)、若草色~鮮やかなグリーン~濃い深緑、目の中心はイエロー~ゴールドですが周辺にグリーンのカラーが混ざるヘーゼルなど。。。美しい宝石のような様々な目の色のネコがいます。
子猫の目は生まれてから約4~12日ほどで開きます。
目が開いてもそのあと2週間ほどは、光に反応する程度で、ほとんど見えていないと思われます。生後3~4週齢に離乳食を食べさせはじめるとき、ネコの鼻先に離乳食をこすりつけるとニオイに反応し口を付けますが、お皿に盛ってある「ごはん」はどこにあるのか見えないので、脚で踏み回して悲惨な状態になります。
大人ネコと同じ程度見えるようになるには2ヶ月前後かかります。
生後5週頃:キツンブルーの目色 |
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生後11週頃:徐々にそのネコのアイカラーが出てくる |
目が開いたばかりの子猫の目色はキツンブルーと呼ばれる灰青色です。
生後7週齢~頃から徐々に虹彩の周りに色が付き始め、そのネコ本来のアイカラーに変化していきます。
グリーンアイの代表、ロシアンブルーなども生後3ヶ月前後まではブルーアイに見えます。
ブルーアイの白ネコやポインテッドカラー(シャム猫やヒマラヤン、ラグドールなど)の幼い子猫は、同じような灰青色ですが、光に反射すると瞳孔は赤くなります。
目に潤いをもたらし、乾燥を防いでいる瞬膜線から分泌物と一緒にでる涙があまると、目頭に集まり鼻涙小管を通って鼻に流れますが、鼻が低いネコ(ペルシャ猫など)は、この距離が短すぎるため、涙目になる子が多くいます。
本来ネコの涙は透明ですが、このように大きな目を持っていることでゴミやばい菌が入りやすく、細菌感染したり炎症を起こしやすいので、透明でもかすかに赤い色がついた涙を流すネコが多くみられます。人間の目脂は固まるとほとんどが白っぽくなりますが、ネコの目脂が固まると赤褐色になることが多いのは、病気ではないけれど、何らかの炎症が起こっている場合が多いようです。
■ネコの目の構造については、こちらのリンクをどうぞ
>>>ちょっと退屈な目の解剖の話