今回のテーマの「妊娠したら…」は、ネコの話ではありません。
ネコを飼っているあなたが、もし「妊娠」したらネコとどう付き合えばよいか?についてのお話です。
これに関連する記事は、前ガイドも書かれていますので、是非参考にしてください。
→人間の赤ちゃんに猫は御法度?
結婚前からネコを飼っていて、ネコと共にお嫁入りした人もいるでしょう。
旦那様にはもれなくネコが付いてました!って、場合もあるかもしれません。
結婚後、ネコと出会い家族の一員に迎え入れた方も。
ネコが先にその家にいて、次に赤ちゃんという新しい家族が増えるわけです。
どんな場合でも、この順番だけは忘れないでいただけたらな~と思います。
妊娠したらネコを手放しなさい!
ネコに限らず、人と同じ空間に動物(ペット)がいる人の妊娠がわかると、周りから「動物を手放しなさい」といわれることが多いようです。
初めて妊娠した方のご家族、また子供の頃から動物と生活を共にしてきた経験が少ない人の方が、心配される傾向が強いように思えます。
妊娠したらネコを手放さなければいけないのでしょうか?
結論を先に書くと、もちろん『手放す必要などありません!』です!
ネコと人間は別のほ乳類ですから一緒に生活する上で守らなければならないルールが確実に存在します。
ネコと生活する上での注意事項を正しく理解して、ルールを守れば、妊娠・出産・子育てと年を重ねていく間も同居『動物=ネコ』との生活は、ますます幸せな時間となるでしょう!
前置きが長くなってしまいましたが、この記事は、ネコがいて~これから子育てを経験するであろう人、親しい人に赤ちゃんが誕生する予定の人には、是非最後まで読んで、正しい知識を身につけていただきたい内容です。
つまらない風評や間違った迷信的な考えにとらわれた大きな親切(お節介ともいう)を振り回すヒトを、説得できるだけの正しい知識を持ってください。
トキソプラズマ感染症
多くの妊婦さんが一番心配に思われることは、トキソプラズマ感染症でははないでしょうか。
トキソプラズマ感染症は「人畜共通感染症=ズーノシス」のひとつです。人畜共通感染症は世界で約112種類あるといわれています。日本ではこのうちの50種類ほどが確認されています。一番小さな病原体はウイルス、細菌とウイルスの中間に位置する生物で大きさも中間のリケッチアやクラミジア、そして細菌、真菌(カビ)、寄生虫などです。
トキソプラズマはこの寄生虫の中でも、もっとも小さい「原虫=胞子虫類」です。
細菌は二分裂して無性生殖で増えます。
高等生物はオス・メスの配偶子が融合する有性生殖で新たな遺伝子形成を生み出します。
このトキソプラズマなどの原虫や真菌は、この無性生殖と有性生殖の両方で増えることが可能です。
種々の寄生虫はどんな動物の中でも成長できるわけではありません。感染後成虫になって、自身が繁殖できる(卵を産む)一番適した環境の動物を「終宿主」といいます。終宿主は寄生虫にとっては大切な住処ですし、動物本体が弱ってしまうと寄生虫自身も困ったことになるので、通常はこの終宿主にはあまり深刻な危害を与えません。しかし、幼虫にしかなれない「中間宿主」に感染した場合は、あちらこちらを動き回って色々弊害をもたらすことがあります。
◆トキソプラズマ原虫がオス・メスの個体に分かれて有性生殖を行える終宿主はネコ科の動物だけです。ネコの腸管上皮細胞内で無性生殖を繰り返して、いっぱい増えすぎるとオス・メスの個体が出現する巧妙な仕組みになっています。
◆ネコ科の動物以外の多くのほ乳類:人間、羊、豚、齧歯類(ネズミやハムスターなど)、鳥類も感染しやすいですが犬には感染しにくいようです。
※爬虫類や両生類、魚類も感染しやすいとしている資料もあります。
◆トキソプラズマ感染症は、高度の高い寒い地域よりも低地の暖かい地域の方がよくみられます。中央アメリカではトキソプラズマ感染者が多く、これはトキソプラズマの生存に気候が適しているからだそうです。また、フランスでも感染者が多く、こちらはちゃんと加熱されていない生の肉を食する習慣と関係が深いそうです。
現在成人の約20~60%はすでにトキソプラズマに感染したことがあるといわれており、健康な人の場合はほとんど免疫機構で抑えられ問題となることはありません。
※免疫不全系の病気(AIDSなど)に感染している場合は、非常に重篤となるケースがあります。