■ウイルスの侵入経路
 
ウイルスが感染を引き起こすためには、体内に入り込む必要があります。
クシャミ(唾、たん、鼻水ほか)や涙、汗、排出物(便や尿)、血その他から排出されたウイルスは、口、鼻、目、耳や尿道、肛門などや、皮膚の汗腺などの穴、その他極小の傷口から侵入します。

体内に入り込んだウイルスは、細胞と結合して細胞内へ侵入してゆき自分の遺伝子のコピーを大量に作り、感染を広げていきます。

しかし全てのウイルスが、全ての生物に同じように侵入できるわけではありません。
特殊なレセプター(受容器)の構造の相性が合わなければ、細胞に結合することができないからです。
そのため、ヒトに感染するが、ネコには感染しない(その反対もある)という一つの生物(種)だけに影響を与えるウイルスが一般的です。
ただし、元々の細胞の表面にある蛋白質をレセプターとして利用できるかどうかなので、その蛋白をレセプターとして利用できたウイルスは別の種でも侵入・増殖が可能になります。

このように基本的にウイルスが侵入できる種は限定されていますが、種の中にはどちらのウイルスにも反応してしまうものがあります。

インフルエンザウイルスのレセプターは大きくα2-3とα2-6の2種類に分けることができます。
ヒトのレセプターはα2-6です。
鳥インフルエンザウイルスのレセプターはα2-3なので、鳥インフルエンザはヒトには感染しにくい、と思われていました。

ヒト以外の動物は通常α2-3ですが、ブタだけはα2-3とα2-6の両方を持っています。このようにブタ(その他にはアザラシ、鯨、ミンク、フェレットなど)は鳥のインフルエンザウイルスにも、ヒトのインフルエンザウイルスにも感染します。ブタが、両方のインフルエンザウイルスに感染するとその細胞の中でウイルスの遺伝子が混ざり合い、今まで存在しなかった別のタイプのインフルエンザウイルスが発生する可能性があります。今世界中が恐れているのは、このような新しいインフルエンザウイルスの発生です。どの生物もこのインフルエンザウイルスに対する抗体を持っていないので、もし発生したら多くの犠牲者が出ると予想されています。

現在世界中で鳥インフルエンザに対して防疫体制が強化されているのは、このような新しいウイルスの発生を抑えるためのものです。

 
■鳥インフルエンザ(H5N1)
 

・乾燥していない糞便を4℃で保存すれば40日以上生存
・気温が25℃以上で乾燥した糞便中では1日で死滅
・75℃、1分以上の加熱で死滅
・鳥の呼吸器や腸管で増殖
・ウイルスは唾液、分泌物、糞尿などの排泄物から排出
・十分な加熱(中心部まで)を行った鶏肉であれば食べても問題なし
・卵は70度以上、1分以上の加熱をすれば安全
・消毒-次亜塩素酸ナトリウム液、アルカリ液、ホルムアルデヒド液、クレゾール液などの消毒薬、逆性石けん、塩素系漂白剤(塩素系漂白剤を使用する場合には、餌や糞便のカスなどが残っていると効果が薄れるので、できるだけ取り除いてから使用するのが望ましい。また、ネコは塩素系漂白剤で中毒を起こしやすいので、部屋の換気等充分な注意が必要)
・ウイルスに汚染されているものを触るときは、マスク、ゴーグル、手袋、体表を覆える服、長靴などを着用して、体内に直接取り込まないよう防御
・死んだり弱った鳥を見つけたときは素手で触らず、すぐに保健所、警察、獣医師に連絡
・屋外で鳥を飼育している場合は、防御ネットなどで野鳥が近づけないように工夫
・犬やネコが鳥の糞便などで汚染された水を飲まないように注意
・犬やネコが弱っている鳥を食べないように厳重注意

本来鳥インフルエンザウイルスは、人間やネコのレセプターとは合わないはずですが、今回人やネコが発病したということは、強烈に活動中のウイルスを大量に体内に取り込んだ可能性があります。すなわち、人の場合ですと、ウイルスに発病中の鶏の糞などの排泄物を大量に吸い込んだ、内臓などを素手で触ってそれが体内に入った、ネコの場合ですと、ウイルスで弱っていた鶏の内臓を食べた…のかもしれません。

もし、ウイルスが確認されている地域にお住まいでも、通常であればそのような鶏と接触することはないでしょうから、一般人が感染する可能性もきわめて低いということです。

 
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