記事:前ガイド戸松 佐恵美 |
みなさんは、公園や団地などに「ここで猫に餌をやらないでください」と書いてある張り紙や看板を見かけた事がありますか?
人間が捨てた野良猫に、どうして情をかけたらいけないの?とここだけ見たら単純にそう思うでしょう。張り紙や看板を出している人も、鬼ではないのですから、本来ならそんな事はしたくないかもしれません。けれど、猫はお腹が空けばゴミを食い散らかし、食べれば糞尿もし、繁殖制限しなければいくらでも増えてしまいます。猫に迷惑をかけられている身としては、可愛いとか可哀想とだけ言っていられなくなるのもまた事実だろうと思うのです。
では、人と猫とが平和に共存して行く道はないのでしょうか。
そこで生まれてきたのが「地域猫」という考え方です。
世の中には猫が大好きな人もいれば、さほど興味もない人もいます。人間に捨てられて、仕方なく野良になった猫なんだから面倒を見てあげるべき、これは正論なのですが、猫に興味がない人にとっては「それはそうだろうけど、何で私が尻拭いしなくちゃならないの?」という所でしょう。
それなら誰がやればいいのか、となると、「猫好きで面倒をみたいと思っている人」になろうかと思います。
それを一人でやるのは、時間的にも経済的にも無理があるでしょう。
そこで、地域の中で猫に愛情をかけたい人が集まって地域として飼う事を「地域猫」と呼びます。
地域猫は、心ある猫好きさんが人と猫との間にトラブルをおこさない為に活動をします。
1.お腹が空いてゴミを漁らないように、定期的に餌を与え、餌を与えた容器の片付けもしてハエなどを発生させないようにする
2.糞尿の始末をする
3.不妊手術を受けさせて、その子一代限りなので見守って欲しいと近隣の方を説得する
これらの活動をしているのが「地域猫」のボランティアさんたちです。
近所の野良猫に餌をあげたいのだけど、そこの人に餌をやるなと怒られるからあげられない、と悩んでいる方は、是非その猫を「地域猫」にすべく運動に参加して欲しいと思います。
昨今では行政でも、地域猫という考え方を取り入れて市として野良猫を地域猫に変えようとする動きも出て来ています。
また、各地に点在する動物保護団体でも、推奨している所が多いので、野良猫の為に何かをしたいと思っている方は、そういった保護団体に連絡してみてはいかがでしょうか。
猫を挟んで人と人とがいがみあうのではなく、理解と協力を得られるように説得するのが猫の為です。
野良猫に餌をあげてはいけないのか?
この問いに対しての答えは「餌をあげるのであれば、その猫についてある程度責任をとる覚悟をしてあげるのなら、あげてもよいのでは」という事でしょう。
お腹空かせているから可哀想、という一時の感傷で餌を与える事は、その猫のためには決してならないのだという事を忘れないでください。