偶然のひらめきから生まれた“フリースドッグ”
CJ君がモデルとなったこのフリースドッグには、実際にCJ君の毛が使われているそう。 |
そんなSINCOさんが、フリースドッグとどう出会ったのでしょうか?
SINCOさんは、元々お花のお仕事をなさっていたそうです。大手花店「日比谷花壇」で花々に触れるうちに、海外のお花屋さんで見識を広げてみたいという想いが募り、一路アメリカのボストンへ。そこでトピアリーというものを知ることになります。帰国後は持ち前の感性と立体把握能力を生かし、トピアリーで様々な作品を発表するようになりました。自分のブランドを持ち、個展を開くまでに。1999年にはNHK「おしゃれ工房」にも出演なさっています。
しかし、芸術家には次のステップを踏むために、行き詰まりというものはつきもの。トピアリーで作った犬の数が増えたこともあって、それで絵本を作ろうと計画をしていたSINCOさんですが、今一つ何かがしっくりこない日々を送る中で、お友達から羊毛をもらったそうです。
すでに、羊毛でマットやスリッパを作る技法は知られていましたので、同じ要領でトピアリーの犬達に首輪でも作ろうかと羊毛をあれこれいじっているうちに、ふとあることに気がつきました。
「これって、CJと同じ毛色じゃない! 立体ものが作れるかも!」
さぁ、フリースドッグの誕生です。
「やばい楽しさ!」
プードルの巻き毛の感じが見事に表現されている。 |
「犬ができちゃうじゃない! すっごく楽しい! やばい楽しさだと思いました(笑)」(SINCOさん)
それから、まずはどれだけの犬種が作れるものかと、犬種作りに勤しむ毎日。だいたいの犬が作れるとわかったあたりから、細かいテクニックも生まれ、フリースドッグとしての地盤が築き上げられていきました。次に、またあることを思いついたSINCOさん。
「CJのブラッシングで抜けた毛を見ていて思ったんです。これを捨てるのは勿体ない。羊毛に混ぜたら、その子のオリジナルのものが作れるんじゃないの?と」(SINCOさん)
次のページでは、海外進出のお話、そしてフリースドッグの楽しさなどについて。