有志の獣医さんたちが立ち上げたセンター病院
10月1日、大阪の玉造に待望のネオ・ベッツVRセンターが誕生しました。ここは動物の医療界では初の二次診療専門の高度医療センターです。
本来は、獣医大学付属の大学病院が、人間の医療でいう総合病院の役割を果たすはずなのですが、わたしたち飼い主にとって大学病院はほんとうに最後の最後の選択。できれば親しくおつきあいしたくない場所ですよね。
ネオ・ベッツVRセンターは、同じ二次診療専門の高度医療センターでも、初の民間施設。気軽にとはいえないまでも、かかりつけのホームドクターの紹介さえあれば、いつでも治療が受けられるセンター病院というわけです。
16年前から構想を練り上げてきた細井戸先生 |
「最初に言っておかねばならないのは、あくまでもここは二次診療の病院であることです。なのでここを利用したい場合は、かかりつけの獣医さんを通してということになります。ホームドクターが信用できないからここへということで来られても受診することはできません。というのは、ネオ・ベッツの設立意図が、たんに一般の動物病院ではできない高度医療を行うことだけではなく、地域の獣医療全体をよくしていこうという視点に立っているからです」(細井戸先生)
聞けば、VRセンターのVRは「Veterinary Referral」(ベテリナリー・リファラル)の略で、「獣医さんの紹介」の意味とか。また、大学病院が5つも集中している東京とは違って、数でも医療体制の面でも圧倒的に足りない大阪ならではの地域的背景と社会からの要請があったからこそできたシステムということでした。
ですが、その意義や存在価値についてはまったく変わるものではありません。いずれにしても、獣医さんたちが共同で立ち上げたというのが素晴らしいですよね!
地域の獣医さんたちの教育の場
細井戸先生に病院内を案内していただきました。明るく開放的な待合室を抜けて中に入ると、最初に目に付いたのがコンサルティングルームと書かれた部屋。ここには大画面のプロジェクターがあって、手術中の様子が映し出されていました。飼い主さんはここで手術中の自分のペットを見ることができるというわけです。
さらに行くと、CTのある検査室とその分析を行う小部屋が…。折しもミニチュアダックスの撮影中で、椎間板ヘルニアの進行状況が目で見える形で映し出されていました。早く処置をして無事に退院されることを祈ります。
続いて眼科の手術室、レーザーなど目の検査や治療に必要な機器が置かれていました。無菌手術室は現在オペが行われていたため中には入れませんでしたが、これはさきほどのコンサルティングルームのプロジェクターで垣間見ることができました。
さらには、レントゲンやフルデジタルのカラードップラーエコー装置、内視鏡、内分泌検査機、各種透視造影検査機などの高度医療機器のある検査室や、大きな処置室、奥には飼い主さんの面会が可能な入院室が大型犬、小型犬に分けて設置されています。
広さは通常の動物病院の1.5~2倍といったところでしょうか。このほか、別棟に事務 局とラボ(研究室)があり、ラボでは随時新しい診断・治療法の研究が行われ、近い 将来には注目の再生医療の研究にも着手される計画だそうです。
「動物の医療を行うだけでなく、人間の世界で行われている最先端医療やアメリカの医療現場で実践されている高度医療などの検証・研究なども行っていきたい。それとすべてのペットの臨床医が利用できる教育の場としても機能させていきたいと思っています」(細井戸先生)