離婚/離婚を決意する前に

離婚以外の選択肢はある? すぐに離婚はもったいない!

離婚か、修復か、究極の選択場面を迎えたときの気づきのヒントを提案します。離婚以外の選択肢にも目を向けてみませんか? 第三者の意見を取り入れたり、ちょっとした気づきを得ることで、自分自身の考え方や気持ちが180度変わることも……。

岡野 あつこ

執筆者:岡野 あつこ

離婚ガイド

離婚以外の選択肢とは? その決断ちょっと待った!

離婚以外の選択肢とは

ちょっと待って!その離婚届

離婚カウンセラーの岡野あつこです!「こんなのって、離婚ですよね!?」そう言って怒りと憎しみと悲しみがごちゃまぜになった状態で駆け込んでくる相談者―。離婚か、このまま結婚生活続行か、この判断基準は人それぞれ。とはいっても、夫婦間の問題で、誰にも相談しないでひとりで悩み続けていると、いつの間にか、「離婚しかない」という極論に行き着いていることがあります。

そんなとき、第三者の意見を取り入れたり、ちょっとした気づきを得ることで、自分自身の考え方や気持ちが180度変わることも―。離婚か、修復か、究極の選択場面を迎えたときの気づきのヒントを提案してみます。

■離婚か? 修復か? 気づきのヒント
  • パートナーが愛人をつくり外泊するようになっても?
    土日だけでも帰って来るなら修復可能
    仕事だと嘘をついているうちは修復可能
     
  • パートナーが家庭を顧みなくても?
    家に給料を入れているなら修復可能
    仕事に打ち込んでいるのなら修復可能
     
  • 会話がなくても?
    パートナーの作った食事を食べているなら修復可能
    家に帰って来るなら修復可能
     
  • 別居しても?
    メールの返事もあり電話も出るのなら修復可能
    子どものことを気にかけているようであれば修復可能
     
  • パートナーが離婚をしてくれ、と言っても?
    パートナーの親がコチラの味方になっているのなら修復可能
    パートナーがコチラの親に敬意を表しているうちは修復可能
     
  • パートナーが給料を入れなくても?
    自分にも生活に困らない程度の収入があるなら修復可能
    自分は実家に戻っており当面の生活に困っていないなら修復可能
これまでは普通に暮らしてきた夫婦が、初めて何らかの危機に陥ると、「こんな状況じゃ、もう離婚以外道はないのかも知れない……」と思い込んでしまいがち。でも、私から言わせると、そうではないのです。

長い夫婦生活を送る中で何度か、もしくは何度でも、夫婦には危機が訪れます。この危機は慌てて離婚に解決を求めることをしなければ、いつかは乗り越えられるケースの方が多いのです。離婚したくない気持ちがあるのなら、どんな状況にも打ちのめされず、負けることなく、慌てず騒がず落ち着いて対処していきたいものです。
 

夫が土下座して「離婚してくれ」と言っても?

どこか遠くに行ってしまいたいと彷徨ったあの日―

どこか遠くに行ってしまいたいと彷徨ったあの日―

専業主婦のかすみさんの夫は単身赴任中。夫婦には小学生2人と幼稚園児1人のお子様がいます。夫は単身赴任先から必ず土日には帰り一家団欒を過ごしていました。ところが、ある時「今週は土曜日も仕事で帰れない」と。それが、だんだん増えて、とうとう丸一ヶ月自宅には帰らないという事態に。

かすみさんは、いくら何でもこれはおかしいと思いました。もし次の週も夫は帰らなかったら、子どもたちを連れて夫の単身赴任先を訪ねてみようと思いました。ところが、夫は帰ってきたのです。帰る頻度は3週に1回か月に1回。余程仕事が大変なのだろうとしか思っていなかったそうです。

こうして1年が過ぎた頃、久し振りに夫が帰って来た時、夫は「本当に申し訳ない。好きな人ができた。離婚してくれ」と土下座をして懇願しました。かすみさんはびっくりして、頭の中は真っ白で、深夜にも関わらず家を飛び出してしまったそうです。
 

キッパリ!「私は離婚する気はありません」

このままどこかのマンションから飛び降りてしまおうか、とかいろいろ考えたけれど、子どもたちのことを考えたら、そうもいかない。日曜日の午後、夫が赴任先へ帰る時間に間に合うようにかすみさんは家に戻りました。

ここでかすみさんは私のところへ相談に訪れたのです。かすみさんは、夫に「離婚してくれ」と言われたからと言って、「もう離婚するしか道はない」という前提で、あれこれ先のことを考えて「どうしたらいいんでしょうか?」と質問します。

「ちょっと待って。いくら夫に愛人ができたからって、離婚してくれって言われたからって、何ですんなり夫のいいなりにならなきゃいけないの? かすみさんは妻でしょ。3人の子どものお母さんでしょ? 今専業主婦で子ども3人も抱えて、どうやって食べて行くの。そんな夫の言うことにいちいち翻弄されないで、どーんと構えていればいいの。離婚してくれ、って言われても、私は離婚する気はありません、ってね」
 

素直な気持ちを伝えて待つうちに状況は好転!

あのツライ日々を乗り越えたから今がある

あのツライ日々を乗り越えたから今がある

かすみさんは早速夫に「私は離婚をする気はないわ。私も子どもたちも、あなたが必要なの。あなたは私たちにとって大切な人なの。私たちのところへ帰って来て」とメールを送りました。夫はその後また1ヶ月自宅には帰りませんでした。かすみさんは夫の実家に相談に行き、今自分たち夫婦に何が起きているのか夫の両親にすべて話しました。

すると夫の両親は即座にかすみさんの味方についてくれ、息子を呼びつけました。「今すぐ愛人と別れなかったら遺産はおまえには一切やらん」と。その後も夫は愛人と別れた様子はなく、更に1年が過ぎました。ある日、珍しく夫からメールが来ました。辞令が出て本社勤務に戻ることになった、というのです。

かすみさんは「ここでまた一緒に暮らせるのですか?」と返信しました。「他に帰る場所はありません」との夫からの返事。夫は帰って来るなり、「これまでのことは本当に悪かった。これからは家族を大事にするよ」と。夫は愛人との関係を清算して帰って来たのです。
 

「夫が愛人を作った」という1点だけで離婚の判断をしない!

実は、かすみさん。何度も挫けそうになりました。「今の修復できるかどうかも分からないツライ状態がどれだけ続くのか、いっそ離婚してしまった方がどんなに精神的に楽か分からない。もう夫を待つのは疲れた……。このままでいたら人生を棒に振ってしまうのではないか?」。

かすみさんが、こんなことを言う度に何度も確認しました。「夫が憎い、愛人が憎いっていうことは、夫をまだ愛しているからじゃないの? 悔しいけど、夫が戻って来てくれたら、一番いいと思っているんじゃないの?」すると、かすみさんは涙をこぼしながら、「そうです。こんなにツライのはまだ夫を愛しているからです」

「だったら、もう少しがんばろうよ。かすみさんの夫のよいところは、愛人ができようが、これまで通りお給料をちゃんと入れ続けてくれたっていうところ。愛人作っても、家族を大事に思う気持ちもちゃんとあるっていうことだもの」。かすみさんは、「ツライ思いを乗り越えて夫を待って本当によかった」、と言っていました。

■かすみさんの夫婦関係修復の選択ポイント―夫は愛人をつくっても
 
  • 家に給料を入れていた
  • 仕事に打ち込んでいた
  • 自宅に帰った時は妻の作った食事を食べていた
  • 最低でも月イチで家に帰って来た
  • メールの返事もあり電話も出た
  • 子どもを可愛がっていた
  • 夫の親が妻の味方になっていた
かすみさんの夫はもともと善良な真面目で優しい人だったのです。自分から「好きな人ができた」と正直に言う人はそう多くはありません。「おまえのこういうところが悪い、嫌いになった」などと言って自分の非を隠して離婚をしようとする人もいるのです。かすみさんのように、苦しみながらも「妻は私。夫との可愛い子どもたちの母も私」というプライドを保ちながら、「静かに耐えて待つ」ことがよい結果を生むこともあるのです。


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