寺・神社/京都の寺・神社

歳末の京都歩き、四つのディープな楽しみ方(2ページ目)

京都は秋に行くところと思っていませんか?いえいえ、実は12月に入ってからの京都もなかなか魅力的なんです。観光客がぐっと減るこの時期は、よりディープな京都人の暮らしぶりに触れるチャンス!

吉田 さらさ

執筆者:吉田 さらさ

寺・神社ガイド

お勧めその2
六波羅密寺の空也踊躍念仏

六波羅密寺は、有名な空也上人像のあるお寺です。現在は小さなお寺ですが、昔は、六波羅一帯がこの寺の敷地でした。六波羅は、平清盛の屋敷があったところです。そのため、こちらの寺には、ひじょうにリアルな平清盛像もあります。規模は小さいながら、なかなか見ごたえのある仏像が並ぶ、よいお寺です。
六波羅密寺の本堂。きれいに修復されているが、実は、応仁の乱でも燃えなかった、京都中心部では最古級の建物
空也上人像は、口から六体の小さな阿弥陀様が飛び出す、不思議な形です。これは、空也上人が、常に「南無阿弥陀仏」という念仏を唱えていたことを表しています。南無阿弥陀仏と文字が六つなので、阿弥陀様が六体いるんですね。

空也上人は、高貴なお生まれの方なのに、なぜ、こんな質素な服装なのか。それは、庶民の中に入り、庶民を助けるために力を尽くした方だったからです。
空也上人は、明日をも知れぬ暮らしを送る庶民たちに、「念仏を唱えれば、極楽浄土に行ける」と解いてまわりました。それだけではなく、踊りながら念仏を唱え、庶民たちも、それにしたがって踊ったということです。

年末に行われる空也踊躍念仏(通称かくれ念仏)は、それがもとになっています。

六波羅密寺には、都七福神の弁才天も祀られています
鎌倉時代には念仏が大流行しました。しかし、民衆が集団で行うため、あまりよろしくないと、弾圧を受け始めます。まあ、一種のデモみたいなものですからね。そこでこのお寺では、夕暮れ時に、本堂内陣で密かに念仏を唱えるようになりました。隠れて密かに行われるため「かくれ念仏」とも呼ばれるのです。

日程は12月13日から31日までの毎日午後4時から。30日までは一般公開されますが、31日のみ、僧侶だけで行われます。わたしも昨年見に行きましたが、かくれ念仏というだけあって、僧侶の方々が腰をかがめてゆっくり動く様子が興味深かったです。念仏も他の寺と違う、秘密めいた響きがありました。

●こちらにかくれ念仏の動画があります(※停止中)
歳末の夕暮れ時、密かに行われる不思議な伝統行事。これも京都の魅力の奥深さですね。
●六波羅蜜寺のホームページはこちらです


●次のページは、宿坊で過ごす年末年始のお話です
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