寺・神社/鎌倉の寺・神社

仏像との出会いを求め、夏の鎌倉徹底歩き(4ページ目)

一般に、鎌倉には、奈良や京都ほど見ごたえのある仏像は少ないとされますが、今回は、その定説を覆すべく、鎌倉を徹底的に歩いてよい仏像を探してみました。鎌倉国宝館とグルメ情報もお見逃しなく。

吉田 さらさ

執筆者:吉田 さらさ

寺・神社ガイド

鎌倉には来迎寺が
二つあるのでご注意!

西御門について書かれた石碑が近くにあります
鎌倉には来迎寺が二つあり、ひとつは材木座、もうひとつが、今回行く西御門の来迎寺です。西御門は、「にしみかど」と読みます。源頼朝が鎌倉幕府を建てたとき、四方に門を造りました。その西側の門を西御門というようになり、そのあたりの土地を西御門と呼ぶようになったといわれています。

西御門の来迎寺は、訪れる人もまばらな谷(やつ)のどん詰まりにあり、真新しい本堂だけ見ていると、どうということのない普通の寺に見えます。が、この中には、仏ちゃんたちが欣喜雀躍する素敵な仏様の世界が展開しています。内部拝観は、お寺の方がいらっしゃらないこともあるので、事前にお願いしておくのがよいようです。

貫禄の如意輪観音

真新しいお堂だが、内部には素晴らしい仏像が!
お堂の中には、阿弥陀如来、地蔵菩薩、如意輪観音などが祀られています。わたしは観音様の中でも特に如意輪観音が好きで、よく見ていますが、こちらの如意輪様も、なかなかの逸品とお見受けしました。

如意輪観音は、たとえば奈良の中宮寺などにあるものは、違うポーズを取っています。(あれは寺伝の間違いで、本当は弥勒菩薩だろうという説もあるが・・・)。しかし、平安以降の如意輪観音は、片膝を立てて座り、六本の手がある姿が多いです。そうした姿が定着したのは、空海によって、如意輪観音はこのような姿をしていると定められて以降のことだと、お寺の方が説明してくださいました。

基本的な姿の如意輪観音の写真はこちら(来迎寺のものではありません)

このポーズの如意輪観音は、二つの手に、如意宝珠という魔法の玉と、法輪という、これまた魔法の輪を持っています。どちらも人の願いをかなえる役にたちます。立膝をして座るポーズが少々しどけないせいでしょうか。わたしの目には、何だかちょっと現世的で、ものわかりのよい大姉御に見えるんです。ちょっとぐらい悪いことをしても、「人間だからしかたないわよ」と大目に見て、勝手なお願いごとも聞いてくれそうです。

宝戒寺には
よい気が流れているらしい

初秋には萩の花が咲き乱れる宝戒寺
ここは鶴岡八幡宮からも近く、時間が余ったときなどにいつも立ち寄る、わたしの定番寺です。何がよいかって、たった100円の拝観料でお堂に上がり、好きなだけ仏像と向かい合っていられること。お堂に座り込んで仏様と語り合える寺を、わたしは「座り込み系」と呼んでいます。お堂の構造や拝観の方針がいろいろ違うため、長時間座り込める寺は意外と少なく、特に鎌倉にはめったにないと思います。

聖徳太子を祀るお堂もあります
その上こちらは、仏像密度もかなり濃く、地蔵菩薩、閻魔様など、もろもろの仏様がたくさんいらっしゃいます。マニアックな仏ちゃんたちは、めったに見られない秘仏とか、前もって予約しておかなければ見られない仏像を好むものですが、いつ行っても見られる定番仏像も、とてもありがたい存在だと思います。ぶつぶつ、ぶつぶつと心の中で唱えながら、時間が許す限り座って癒されてくださいね。

ここは境内を歩くのも、何だか気持ちがよいです。同行の方の中で、スピリチュアル関係に敏感そうな女性がいて、「ああ、ここは気がいいですね」とおっしゃいました。わたしはそっち方面には少々疎いですが、鎌倉に行くたびにここに寄りたくなるのは、本当に、気がいいからかもしれません。

次のページは鎌倉国宝館。ラッキーにも、この時期は、観音様の大放出だった!
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