エンバーミングって何?

日本では馴染みの薄いエンバーミングですが、最近は「ゆっくり時間をかけてお別れができる」と注目されつつあります。
火葬が主流の日本では馴染みの薄いエンバーミングですが、最近は「ゆっくり時間をかけてお別れができる」と注目されつつあります。
エンバーミング(遺体保全)をする人をエンバーマーと言います。エンバーミングという言葉、普段耳にすることは滅多にないと思いますが、その意味をご存知ですか?

エンバーミングとは、遺体を衛生的に保全する処置を行うこと。体内の防腐処置を施すことによって、腐敗を止めてドライアイス等の保冷剤がなくても長期間保全することができるため、海外へ遺体を搬送するとき、または海外から遺体が搬送される場合などは、原則としてエンバーミングをする必要があります。

「保存」を目的としてスタートしたエンバーミングですから、亡くなるとすぐに火葬してしまう日本では、最近まで詳細はもちろん、エンバーミングという言葉さえも知らなかったという人が多いのではないでしょうか。しかし、エンバーミングの件数がほとんどなかった1990年代後半からわずか数年で、その数すでに年間1万5000件を突破しています。まだまだ普及してはいないとはいえ、急速に増えたのはなぜでしょう。

エンバーマーが主役となるドラマ「死化粧師」(テレビ東京系で放映中)のサイトのイントロダクションにはこのように書かれています。
『エンバーマーは、死者をまるで生きているかのような姿に再生することで、遺族の悲しみを和らげ、辛い永遠の別れを優しい記憶に変えてくれる……。』

これは次のようなことを意味しています。

エンバーミングをすると

身内の亡骸に対して、そのようなことは考えたくないと思いつつも、ふっと頭の中によぎってしまうこと……それは
「腐敗が心配」
しかし、エンバーミングをすれば腐敗の進行を止めることができますし、病原菌を殺菌することができますので感染症などで亡くなった方でも安心してお別れをすることができます。ご遺体と同じ布団で休むことも可能になるのです。

また、長期入院でやせてしまって面影がなくなった方は、頬をふっくらみせたり皮膚に張りをもたせるなどして元気だったときの姿を彷彿させるような状態に修復することができます。事故で顔に傷を負った方なども、傷を目立たなくして美しい状態でお別れをすることができます。
故人と最後にお別れをした遺族の心の中には、故人の死顔がいつまでも残ってしまうもの。そんな時、安らかな顔を思い浮かべることができるか否かによって、精神的苦痛が全く違ってくるといわれています。

さらにエンバーミングをすることによって、すぐに火葬をする必要性がなくなってきますから葬儀の準備をゆっくり進めることができます。
「亡くなったらすぐに通夜・葬儀の準備をして火葬。悲しんだり、故人のことを思い出す余裕もなかった……。」という声をよく耳にします。大切な人が亡くなったら、悲しみはもちろん、さまざまな感情が沸々とわきあがってくるもの。それを内に秘めたままバタバタと一連の儀式を進めてしまうのではなく、時間を置くことによって感情を外に出して周囲の人に共感してもらうゆとりができ、それが心のケアにつながると言われています。


諸外国と比べ、日本でのエンバーミングはそれほど普及していないとはいえ、年を追うごとに件数が伸びている理由……それは「もっとゆっくりとお別れがしたい。」
そう思う遺族の要望が増えてきたためと考えられます。

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