終末期はQOLからQODという考え方へ

「QOD」とはクオリティ・オブ・デス(ダイイング)の略。死の質と訳されます。

「QOD」とはクオリティ・オブ・デス(ダイイング)の略。死の質と訳されます。

「QOL」という言葉を耳にしたことのある人は多いと思います。QOLとはクオリティ・オブ・ライフの略。「人生の質」や「生活の質」と訳され、人間らしく満足して生活してるかを表す概念です。

しかし、死が間近に迫った場合には、「生」に対する前向きな姿勢を問うQOLよりも、どのように死を迎えるかに焦点を当てた「QOD」という考え方が注目されています。

QODとはクオリティ・オブ・デスの略。もしくは一時点の死を表す「Death」ではなく、死にゆく過程や遺族ケアを含む「Dying」を使用し、クオリティ・オブ・ダイイングという場合もあります。いずれにせよQODの概念は、いかに満足して死を迎えるか、という終末期の質を表しています。

QODは1980年代ごろから欧米で使われはじめ、21世紀に入り研究が盛んになっています。どこで死を迎えるか、どのように死を迎えるか、「死に場所」「死に方」を考え、さらに人生の振り返りや遺言や墓の準備をし、家族や仲間とのコミュニケーションをとることがQODの質を高めると言われています。


質の高い死とは?

では、質の高い死とは何でしょうか。この点に着目してイギリスの経済紙「エコノミスト」の調査機関が2015年に全世界の「死の質」を調査しています。

調査は「緩和ケアとその保健医療状況」「保健医療分野の人材」「経済的負担」「ケアの質」「地域社会との関わり」の5領域について、世界80か国を対象として行われました。

その結果、トップは前回調査と同じイギリス。2位以下はオーストラリア、ニュージーランド、最下位はイラクとなりました。

日本は前回調査(2010年)では40か国中23位だったのが、今回は14位とランクアップ。アジアでは台湾(全体6位)、シンガポール(全体12位)に次いで3位でした。

この報告書によれば、「死の質」が高い国には以下のような特徴があげられます。

・保健医療サービスに公的支出の高さ
・医療従事者に対する専門的緩和ケアトレーニング
・利用者の財政的負担の軽減
・オピオイド(モルヒネ系)鎮痛剤の幅広い使用
・終末期や緩和ケアに対する国民の意識の高さ

日本の終末期医療は地域コミュニティとの関わりという点で高得点がはじき出された一方で、麻薬鎮痛剤の使用は得点が低いという結果になりました。


医療の側面だけでは測れないQOD

しかしこれはあくまで医学的な見地から分析したもので、調査の5領域だけでQODを測れるものではありません。QODは文化・習俗・宗教など、もう少し広義で語られるものだと思います。

老い・看取り、そして死の現場、死後の家族など、死にまつわる環境では、「まさか自分が(家族が)こんな身体になるなんて」と現実を受け入れられない、もしくは受け入れようとしている姿があります。

終末期、ターミナルを迎える方は、死の過程で遭遇する苦痛、不安、孤独、別れに対する寂しさや悲しさ、死に対する恐怖などが複雑に絡み合いながら、こうした感情を受け止めています。

周囲はその現実を踏まえ、その人らしい最期を実現するために寄り添っていく……医療の側面だけでは測れないQODを意識し、家族で、時には地域で支えていくという視点が求められています。


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