お葬式の正しい参列マナーとは?
葬式の参列マナーとは
お葬式のマナー1:弔問時の服装
アクセサリーを付ける場合には一連の真珠のネックレス程度に
訃報を聞いた直後、取り急ぎ駆けつける場合は落ち着いた感じであれば普段の服装でかまいません。「準備していました!」とばかりに喪服を着ていくほうがマナー違反になります。
【通夜の服装】
通夜の服装は本来は喪服でなく、紺やグレーなどの地味な服装をするものとされていました。現代では儀式化しているので喪服着用の人が多くなりましたが、黒か地味な色のスーツでもかまいません。女性のストッキングは基本的に黒がベターですが、あらかじめ準備していた印象にならないように「肌色にするべき」という人もいます。
【葬儀・告別式の服装】
葬儀・告別式に参列するときは喪服を着ることが多いですが、ない場合には全身黒一色で統一します。光沢のある素材や透ける素材、肌の露出が多い服は好ましくありません。もちろんサンダルやミュールもダメ。また、遺族よりも格式の高い礼服の着用もNGです。メイクは薄くし、アクセサリーは結婚指輪以外は付けないのが原則ですが、つけるなら一連のネックレス程度にしておきます(二連は「不幸を重ねる」という意味になり×)。バッグや靴は光沢や金具がついていないものにします。
お葬式のマナー2:香典の準備
不祝儀袋のウラも大切!上を下にかぶせて下向きにして悲しみを表します。 |
【表書き】
■仏式
一般的なマナー本には、”仏式の場合四十九日以前は「御霊前」、四十九日後は「御仏前」を使う(浄土真宗では霊の存在がありませんので「御仏前」が適当となります)”と書いてありますので多くの人はこの慣例に準じています。
しかし、ワンランク上のマナー美人を目指すなら仏式の場合「御香料(ごこうりょう)」「御香資(ごこうし)」「御香奠(ごこうでん)」を使ってみては。「お香をお供えします」という意味になりますのでこれなら浄土真宗でも失礼にあたりません。※浄土真宗は日本一信徒数が多い宗派なので覚えておきましょう。
■神式
神式でも「御霊前」は使用できます。ほかに「御榊料(おんさかきりょう)」「御神饌料(ごしんせんりょう)」「御神前」「御玉串料」など書いてもOKです。
■キリスト教式
「お花料」が一般的です。カトリックでは「御ミサ料」も可(プロテスタントでは不可)。
このように、宗旨・宗派によって表書きが変わってきますが、参列者側は必ずしも遺族の宗旨・宗派を理解しているとは限りません。あまり気にせずに自分の家の宗旨・宗派に準じた形でもよいでしょう。
水引は黒白か銀一色で「繰り返さない」という意味の結びきりを使用します。はすの花は仏式のみ使用可。キリスト教や神道には使えません。また、表書きは「涙で墨がにじんでしまいました」という意味で薄墨を使用します。弔辞用の薄墨筆ペンも市販されていますので1本準備しておくと便利です。
裏には金額と住所を必ず明記しておきましょう。故人と親交が深い人でも遺族が連絡先を知らないことがあります。遺族の事務的負担を軽減するためにも書き忘れないように。
お葬式のマナー3:受付で
【香典を出すとき】香典は袱紗(ふくさ)に包んで持参します。日本では、贈答品などを直接手で持って渡すことは失礼なこととされ、献上台やお盆などを使う形式がとられていました。香典袋はお盆にのせて袱紗に包めば完璧ですが、今は不祝儀用の簡易袱紗が市販されていますので、ひとつ購入しておくと便利です。袱紗の包み方に注意を払うのはもちろんですが、実は一番見られているのは袱紗から出すときの手元。受付直前まで袱紗に入れておき、その場で開いて香典だけ渡します。スマートに出せるようにしておきたいですね。
※不祝儀の場合、袱紗ごと渡しません。袱紗を返されることになるので「不幸が重なる」と気にする人がいるからです。
【受付ではおくやみの言葉】
一般的には受付で「この度はご愁傷様です」とお悔やみの言葉を述べるのがマナー。しかし、必ず口に出さなければいけないというわけではありません。実際、ほとんどの人が黙礼だけで受付をすませているケースが多いようです。
【記帳をするとき】
芳名帳(会葬者名簿)に住所や氏名を記入します。他の人の香典を預かっている場合、基本的には預かった人の名前は書きません。芳名帳には実際に来た人を確認して整理するものであり、香典の整理については香典帳など別の帳面で整理するからです。
しかし、最近では香典整理を少しでも簡略化できるように、各社さまざまな書式の芳名帳をつくっています。芳名帳と香典帳が一体になっているタイプの場合は(複写式など)、本人と預かった人の名前全員分を書かなければいけない場合もありますので受付で確認してみましょう。
お葬式のマナー4:焼香・お別れの作法
抹香をつまむ量は少量でOK。参列者が多いと会場内に煙が充満してしまいます。 |
仏式で行われる焼香の作法は、宗派によって異なります。抹香をつまんで額にいただく場合もあれば、そのまま香炉に入れる場合もあります。回数も1~3回までまちまち……。すべての宗派の作法を暗記している人はほとんどいないでしょうし、実際に会場に行って「これは○○宗の葬儀!」と見抜く人もいないでしょう。大切なのは気持ち。宗派と違う焼香をしたからといって失礼にあたるわけではありません。
とはいえ、「気持ちが大切」とばかりに作法をないがしろにしてもいけません。せめて自分が属する宗派の作法だけは普段から意識して把握しておくべきでしょう。
■主な仏教各宗派の焼香作法
宗派 | 焼香の回数 | 作法 | 線香の場合 |
天台宗 | 1回又は3回 | 特に決まりはない | 3本たてる |
真言宗 | 3回 | 仏法僧に帰依するという意味で額におしいただきながら3回 | 3本たてる |
浄土宗 | 1~3回 | 特に決まりはない | 1本(2本)たてる |
浄土真宗本願寺派(西) | 1回 | 抹香は額におしいただかず、そのままつまんで香炉へ | 香炉に横に寝かせていれる |
真宗大谷派(東) | 2回 | 抹香は額におしいただかず、そのままつまんで香炉へ | 香炉に横に寝かせて入れる |
曹洞宗 | 2回 | 1回目は額におしいただき、2回目はそのまま香炉へ | 1本たてる |
臨済宗 | 1回 | 額におしいただきながら焼香 | 1本たてる |
日蓮宗 | 1回又は3回 | 額におしいただきながら焼香 | 1本たてる |
日蓮正宗 | 3回 | 額におしいただきながら焼香 | 香炉に横にねかせていれる |
【神式】
神道の場合は玉串奉奠が行われます。茎を祭壇に向けて捧げます。 |
【キリスト教・無宗教】
日本ではキリスト教の葬儀は献花が多くなっています。スタッフや信者から花を渡されたら茎を故人側に向けるように起きます。無宗教で献花によるお別れが行われた場合も同様にします。
こんな時どうする?お葬式マナーのQ&A
Q:通夜ぶるまいの席に行くのは恐縮しちゃう。遠慮するべき?
A:
通夜ぶるまいの食事は、故人と過ごす最後の食事という意味があります。亡くなっても体の中の細胞のすべてが死んでしまっているわけではないので、通夜の時点では体のどこかがまだ生きているかもしれないのです。通夜の食事はまだ体の一部が生きているかもしれない故人と過ごす席。何も食べないのは「私は最後の食事を断ります」ということになりますので、少しでも箸をつけるのが礼儀とされています。
Q:
会社帰り。バッグのほかにも荷物がたくさんあってゴチャゴチャしてる。
A:
市販の黒い紙袋などにまとめておきます。クロークが設置されているようであれば預けます。焼香や献花など、お参りがしやすいように簡易手荷物台が設置されていることもあります。
Q:
自分と異なる宗旨・宗派の場合、作法はどうする?
A:
喪家の宗教が自分の信仰と異なる場合、無理やり合わせる必要はありませんが、故人を見送る場所なので強烈に自我を通すのも筋が違います。周囲との調和や雰囲気を考えて、自分なりの弔意を表してみましょう。例えば、焼香をしたくない人なら黙祷だけでもかまいませんし、玉串奉奠に抵抗があるようでしたら捧げるだけでもかまいません。
Q:
式場に入ったら着席するように勧められました。故人と親しい人はほかにもいると思うので後ろに座ったほうがいい?
A:
着席を勧められたら、前から順に詰めて座ります。間を空けてしまうと後から来た人が座りずらくなります。1人でも多くの人が着席できるように気を配りましょう。
Q:
数珠(念珠)はあったほうがいい?
数珠はいいモノをひとつ持っていれば十分。バッグやポケットに無造作に入れないこと。念珠袋に入れたり風呂敷に包んで大切に扱います。 |
A:
家が仏教ならば、数珠(念珠)はひとつ持っておくべき。家の宗旨・宗派にあわせたタイプの数珠を準備すれば本格派ですが、仏教八宗派共通で使える一連の短い略式数珠なら気軽に持てます。その場合、珠の色や房の色は好みでOK。中には珠と紐を別々に買って自分で作ってしまう人もいます。念珠袋も売っていますのでセットで使えば大人度アップ!
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