高校受験/高校受験のトレンド・関連記事

もう一つの国際的な学力調査 TIMSSとは?

国際的な学力調査の代表といえばOECDの学習到達度調査(PISA)ですが、実はもう一つあります。それがTIMSSなのです。今回は、TIMSSの結果からみた日本の学力について紹介します。

伊藤 敏雄

執筆者:伊藤 敏雄

学習・受験ガイド

そもそもTIMSSとは?

TIMSSとは、国際数学・理科教育動向調査のこと
TIMSSとは、国際数学・理科教育動向調査のこと
国際教育到達度評価学会(IEA)が実施する国際共同研究調査の一つである「国際数学・理科教育動向調査」のことです。頭文字をとってTIMSSと呼んでいます。

昨年最新の調査が行われましたが結果の集計がまだなので、今回は2003年に実施されたTIMSS2003の結果を紹介します。


小学算数は順位も得点も変わらず

小学生の算数では4年生を対象に調査が行われた結果、前回(1995年)の調査に続き、シンガポールが1位となりました。2位は韓国、3位は日本と、アジアの国が上位を占める結果になっています。

<小学4年の算数の国際比較>
TIMSS2003(2003年)  
国名 得点 1995年の順位
シンガポール 594 1位
香港 575 4位
日本 565 3位
台湾 564 不参加
ベルギー※ 551 不参加
オランダ 540 5位
ラトビア 536 15位
リトアニア 534 不参加
ロシア 532 不参加
10 イギリス 531 17位
※フラマン語圏


日本は前回の3位から順位は変わらず、得点は前回の567点→今回の565点とほぼ変わらない結果になりました。この結果を見る限り、小学生の算数の学力に問題がないように思えますが、実際には小数のひき算の問題「4.03-1.15」で、正答率が前回の87.3%→今回の72.3%と15ポイントも下げるなど、ゆとり教育の影響が否定できない結果になっています。

中学数学は順位変わらずも得点は低下

中学生の数学では2年生を対象に調査が行われた結果、前回(1999年)の調査に続き、シンガポールが1位となりました。2位は韓国、3位は香港、4位は台湾、5位は日本と、こちらもアジア勢が上位を占める結果になっています。

<中学2年の数学の国際比較>
TIMSS-R(1999年) TIMSS2003(2003年)
国名 得点 国名 得点
シンガポール 604 シンガポール 605
韓国 587 韓国 589
台湾 585 香港 586
香港 582 台湾 585
日本 579 日本 570
ベルギー※ 558 ベルギー※ 537
オランダ 540 オランダ 536
スロバキア 534 エストニア 531
ハンガリー 532 ハンガリー 529
10 カナダ 531 10 マレーシア 508
※フラマン語圏


日本は前回の5位から順位は変わらなかったものの、得点は前々回(1995年)の調査と比べて11点、そして前回(1999年)と比べて9点、それぞれ統計的に有意に低くなる結果になっています。

また、前回と同一の問題(79題)の平均正答率は、前回の70%→今回の66%と4ポイント低くなり、学力低下を示す結果になっています。

>>次は、小中学生の理科について>>
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます