One flew east, one flew west, one flew over the cuckoo's nest.
一羽は東へ、一羽は西へ、一羽はカッコーの巣の上を飛んでいった
マザー・グースの詩を引用したケン・キージー原作の『カッコーの巣の上で』。精神病院(cuckoo's nest)の厳重な管理下で、自由を求めて旅立とう(fly)とする人間の意思の力を描いた不朽の名作です。
75年のアカデミー賞5冠(作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、脚色賞)を独占。 |
ケン・キージーの原作単行本。映画と読み比べてみては? |
お前らは狂ってなんかない
数え切れないほどの名シーン、名セリフがある本作ですが、特筆すべきはやはりこのシーンではないでしょうか。毎日定例のグループセラピーを受けているマクマーフィーたち。そこでマクマーフィーは、ほとんどの収容患者たちが自分の意思で入院しているという衝撃の事実を知らされます。それぞれに吃音症やろうあ、適応障害であっても十分に外の世界で暮らしていける彼らが、自ら保護してもらうことを望んでいる――。自立した生活を送る勇気がもてない彼らの選択にショックを受け、マクマーフィーは怒りをあらわにします。
What do you think you are, for Christ's sake?
お前ら、自分が本当に狂ってるとでも思ってるのか?
Crazy or something? Well, you're not. You're not!
違うだろう、狂ってるもんか
You're no crazier than the average asshole
out walking around on the streets, and that's it.
みんな、その辺に歩いてるヤツらと変わらないんだよ
人間、誰しも欠点はあるもの。それを恥じたり卑屈になって生きる必要はないという、マクマーフィーの潔白なまでに平等な精神がうかがえる名言です。
この先、ここから巣立って行く患者は現れるのでしょうか。余談ですが、カッコーは自分では巣をつくらず、他の鳥類の巣に卵をまぜて育てさせるずるい習性を持つ鳥だそう。精神病院がカッコーの生みつけた他人の巣なら、カッコーは責任を放棄した社会とも解釈でき、作品の掲げたテーマの奥深さに改めて脱帽です。
英語版ノベル『カッコーの巣の上で』。何度も読み返したい名セリフがたくさん。 |
邦題:カッコーの巣の上で(1976)
原題:One Flew Over the Cuckoo's Nest (1975)
ジャンル:ドラマ
発売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
監督:Milos Forman ミロシュ・フォアマン
キャスト:Jack Nicholson ジャック・ニコルソン(マクマーフィー)
Louise Fletcher ルイーズ・フレッチャー(ラチェッド婦長)
Brad Dourif ブラッド・ドゥーリフ(ビリー)
Christopher Lloyd クリストファー・ロイド(テイバー)
Danny DeVito ダニー・デヴィート(マーティニ)他
原作:Ken Kesey ケン・キージー
脚色:Laurence Hauben ローレンス・ホーベン / Bo Goldman ボー・ゴールドマン
製作:Saul Zaentz ソウル・ゼインツ / Michael Douglas マイケル・ダグラス
【英語の難易度】
★☆☆☆☆(初級レベル)
全体的にセリフの少ない作品。主人公のセリフは早口のスラング交じりですが、内向的な患者たちはゆっくりと易しい表現で感情を口にします。ラチェッド婦長の言葉遣いも礼儀正しく、正統派英語の学習に最適です。
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