浄土庭園が美しい毛越寺
毛越寺の本堂。今の建物は平安時代の様式にならって1989年に再建されたもの(2006年5月撮影) |
中尊寺を開山した慈覚大師円仁が開いたお寺で、藤原基衡から秀衡の時代に数々の建物が造られました。中尊寺が小高い丘の中に広がるお寺であるのに対して、毛越寺は大きな池を境内に作り、これを浄土庭園というイメージにして、その周囲に建物を配置する形としたことが異なります。
火事などにより開山当時の建物は残っていませんが、江戸時代から残る常行堂や、平成になって再建された立派な本堂が参拝する人々を迎えてくれます。
浄土庭園をイメージした大泉が池。海岸の美しさを表現しようとしています(2006年5月撮影) |
また浄土庭園を特徴づける境内の大泉が池も、復元整備により甦りました。池ではあるのですが、海岸の美しさを表現しようと出島や洲浜などを造形してあります。この場所に立って大泉が池を眺めてみると、なんとなく海岸にいるように見えてくるから不思議なものですね。
源義経、最期の場所は平泉
奥州藤原氏と縁の深いのが、源義経。平家と源氏が平治の乱で戦って源氏が敗れた時、逃げてきた源義経を保護したのが藤原秀衡でした。その後、兄である源頼朝との確執から平泉に来た義経ですが、頼朝の圧力に屈した藤原泰衡により最期を迎えます。義経が平泉で暮らしていたという高舘(たかだち)には、後に義経の像を祀る義経堂(ぎけいどう、Yahoo! 地図情報)が建立されました。義経の死で安泰になるかと思われた奥州藤原氏でしたが、藤原氏の力を恐れた源頼朝が平泉に侵攻してくることで、あえなく滅亡することになります。そんな歴史の流れを思い返しつつ、平泉を歩いてみるのも良いかも知れません。
平泉では、毎年5月に「春の藤原まつり」が行われます。奥州藤原氏の供養など様々なイベントが行われますが、圧巻は5月3日に行われる「源義経公東下り行列」。義経が頼朝の追っ手を逃れて平泉にたどり着いた時に平泉の民衆と藤原秀衡が歓迎した情景を再現します。
毛越寺から中尊寺に向けて、平安時代の衣装をまとった人々による行列が歩く姿はまさに歴史絵巻の再現。ガイドが平泉を訪れた時はイベントの前日でしたので、行列を見ることはできなかったのですが、イベントの日にあわせて出かけるのもいいですね。
平泉へのアプローチ
- 地図:Yahoo! 地図情報
- 公共交通機関の場合
東北新幹線「はやて」「やまびこ」で一ノ関駅下車。東北線に乗り換えて平泉駅下車。
中尊寺へは、平泉駅から徒歩25分。
毛越寺へは、平泉駅から徒歩7分。
高舘義経堂へは、平泉駅から徒歩10分。
なお、平泉駅前から毛越寺、中尊寺、高舘義経堂など、平泉の観光名所を巡る平泉町巡回バス「るんるん」が4月下旬から11月始めまで運行予定。
(2007年度の運行については、現在未定) - 車の場合
東北自動車道 平泉前沢インターチェンジから、国道4号線を一関方面へ戻る。または一関インターチェンジから国道342号線、国道4号線に入り盛岡方面へ。
毛越寺と中尊寺には、収容台数の多い駐車場があります。
【関連記事】 - 義経も眺めた東北の浄土庭園(All About 癒しの旅)
【関連サイト】 - All About 世界遺産
- 中尊寺
- 毛越寺
- 平泉の文化遺産(平泉町世界遺産推進室)