妻達の理想の夫婦セックスを「セックス白書」で読み解く
以前「セックス負け国!世界最低SEX回数理由」という記事で、日本の夫婦の寝室問題を分析してみました。なぜセックスレスという言葉が国中で飛び交うのか? 厚生労働省の調査でも「結婚している10代から40代の日本人男女の夫婦の約3割が、セックスレス傾向」と発表しています。
はたして日本の妻達は、この憂うべき「夜の夫婦生活」問題をどう受け取っているのでしょうか。「夫に言えない妻の本音」を調べてみました。私がごく最近行った調査は、20代以上の未婚・既婚女性600人に聞いた、夜の性生活アンケートです。『彼には内緒 私たちのセックス白書』(小学館)でも、女性のセックス観をまとめています。この結果からも、既婚女性の方がだんぜんセックスレスの割合は高いことがわかるのですが、この現状を放置しておいてよいのでしょうか。
<目次>
妻は夫に理想のセックスを不安で伝えられない…?
妻達は、日常、夫にさまざまなお願いをしています。「あなた、ゴミ出してね」「週末、車でスーパーに連れて行ってね」「お小遣い少なくして、子どものお習いごとに回して」「赤ワイン買って帰ってね」などなど。さまざまなお願いごとが各家庭で飛び交っていますが、寝室で夫にお願いをする妻達は、どれだけいるでしょうか。「セックスに関しては恥ずかしくて話せません」「一度、こうしたいと言ったらドンビキされた」「女がエッチな事言うものじゃないと却下された」「セックスは男性に主導権があるものです」など、リビングでの会話と寝室での会話は微妙に様子が違っています。
夫婦仲相談所では、寝室でのコミュニケーション不足からセックスレスに突入し、いつの間にか妻の方が「不安」を抱えるようになるという構図が見えてきています。600人調査ではフリー意見も書いてもらいました。みなさん、大変詳しく「こうしてほしい」というお願いを書いてくれました。この妻の気持ちを少しでも旦那様に伝えることができれば、セックスレスの比率は減少してくると推測されます。
夫婦のセックスについて、妻が望むリアルな本音
■30代女性の声
もっと前戯に時間と手間をかけてほしい。こういう風にしてほしいってことがあったら、言ってほしい。
<ガイド・三松からのコメント>
前戯の丁寧さに関しては、数多くの女性が「もう少しがんばってほしいな」という意見です。しかし、仕事で疲労困憊のだんな様は、「10分でも早く寝たい」という方も多く……。
■30代女性の声
お互いがどうしたら気持ちよくなれるのか分かっていてくれて、強弱があるセックス。いつも同じじゃつまらないと思う。自分のしてほしいことは遠慮なく言ってほしい。自分の欲求を処理するだけのようなセックスは絶対嫌! 回数・頻度よりも、ゆっくり楽しみながら愛を感じられるセックスが一番良いですね。
<ガイド・三松からのコメント>
いつも同じじゃつまらない。これもマンネリ夫婦脱出のために、お互いに工夫しなければならない重要案件です。「女房とは飽きちゃって」という発言は、工夫と努力の不足から出てくる定番のセリフです。飽きる前にまず努力を。
■40代女性の声
挿入する前に時間を取って気分を盛り上げてほしい。前後のケアが皆無なので寂しい。一緒に住み始めた直後からレス状態になり、話し合いで少しずつ回数、頻度が増えて来たけれど、もう少し自発的に人並みはしてほしい。
<ガイド・三松からのコメント>
話し合っているという事実は素晴らしいです。セックスレスが1年以上長引く夫婦は、話し合いは一切していません。どちらかが「ねえ、セックスのことだけど」と話しかけても片方が耳をふさぎます。この方は、回数、頻度が増えたことに感謝の気持ちを持つと、もっと増えます。
■20代女性の声
月に1度でもいいから、とりあえず触れてほしい。挿入が無理ならしなくてもいいし、イけないならイかなくてもいいから。とりあえず「まだ、貴女(私)のからだに興味がありますよ、愛してますよ」って伝えてほしい。
<ガイド・三松からのコメント>
20代ですから、「愛してるよ」はもっともささやいてほしい言葉です。いえいえ、女性は30代になっても40代になっても「愛してるよ」とささやかれたいのです。セックスは挿入がすべてではない、身体と心のふれあいというふうに世の旦那様達が思ってくれるといいですね。
■30代女性の声
気持ちのこもったセックスです。ただ、溜まってるからとか出したいからという感じのはがっかりですし、気持ちよくありません。求められてるって感じたり、愛されてるって感じたいです。それから、終わった後も優しくしてほしいです。
<ガイド・三松からのコメント>
終わった後のことは、かなり女性はナーバスです。さっさとパンツをはいて寝てしまう、「はい以上」という雰囲気はせっかくの愛のムードをぶちこわします。外国の映画のように、妻が眠るまで髪や、腕を撫でていてほしいという意見はよく聞きます。
■30代女性の声
まったく性欲がない人なので、とにかく体に触れるだけでもいいので、コミュニケーションをとりたい。実際、セックスをしなくなったことにより愛情が持てなくなった。
<ガイド・三松からのコメント>
これが、私の唱える「寝室事情と夫婦仲は正比例する」という持論の典型的な現象です。世の旦那様、コミュニケーションは寝室でこそ発揮してください。
■30代女性の声
今は、子供を作るためのセックスしかしてない。排卵日以外には、求めてこない。結婚前は、前戯があったけど、今はなく、入れるだけなので、痛くて仕方がない。最後は、わたしの中でいくことはなく、手で自分でしてから、出すだけなので、とてもむなしい。結婚前のような、スキンシップありつつ、前戯あり、私の中でいくような、セックスがしたい。
<ガイド・三松からのコメント>
哀しい寝室事情です。でも私はいつもアドバイスしています。「あるだけまし」と思って、感謝の気持ちを旦那様に伝えましょうと。この方は、きっと、「痛い、むなしい、満たされない」という事をまだ旦那様に伝えていません。伝えるのは難しいですが、それを乗り越えないと、いつの日か、妻の方から拒否し、そのままセックスレス10年……ということになり得ます。
さて、こんなコメントが600件も延々と続きます。ひとりひとりの妻の想いが、痛いほど伝わってきますが、この気持ちを受け容れる旦那様方の心のキャパシティはそれぞれです。
「そんなふうに思っていたのか、俺がんばるよ」という理想的な反応をする夫、「無理、無理、いまさらそれはないでしょう」と逃げる夫、「女からそんなこと言うのか」という封建的な夫、夫婦仲相談所にはもっとひどい反応をされたという妻達の声が届きます。「そんなエッチしたいなら外でしてこい!」
妻達が夫に本音を伝える前に、夫のセックスキャパシティを知ってかないと傷ついてしまうという結果になります。男性のみなさま、女性が意を決して伝えたセックスの本音に、耳を傾けてあげてくださいね。
妻が喜ぶ夫婦のセックスを!男性におすすめ「スローセックス実践入門」
男性の方におすすめなのは、アダム徳永氏の『スローセックス実践入門』という本です。セラピストのアダム氏が心の身体の癒やし方を実践指導。「世の中のほとんどの男性のテクニックが幼稚園レベルである」と断言されるアダム氏の著書はベストセラーとなっています。最後の2項目は、『私たちのセックス白書』でも力をかけて書いたテーマなのです。妻側も夫側も「寝室ではまず相手を知るべし」という論法。ぜひ、読み比べてみてください。男女お互いがコミュニケーションをとる努力なくして、至福の夫婦間セックスはあり得ないということであります。妻の理想、夫の理想、今宵しっぽり語り合ってみましょう。
【関連記事】