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自業自得!?ダブル慰謝料のリスク(2ページ目)

不倫の結果、妻からも不倫相手からも慰謝料請求をされるまさに泣きっ面にハチのようなケースを考えてみました。妻にも不倫相手にも秘密にしているととんでもないことになるおそれがあります!

酒井 将

執筆者:酒井 将

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不倫の一般論

不倫の一般論
不倫相手の女性は、不倫であることを知っていたら奥さんから慰謝料請求をされてしまいますが、不倫であることを過失なく知らなかった場合には慰謝料請求されません。
まずは不倫の一般論を述べてみましょう。

夫が不倫をした場合、不倫は離婚原因になりますから、夫は妻から離婚をつきつけられる恐れがあります。さらに、慰謝料も請求されてしまいます。

また通常は、妻は夫の不倫相手に対しても慰謝料の請求が可能です。つまり、妻は、不倫をした夫と、不倫相手の女性の両方に対して、慰謝料請求ができるのが原則です。

他方、不倫相手は、夫に対して慰謝料を請求できません。「奥さんと別れるって言ったのに、結局別れないじゃない!このウソツキ!慰謝料を請求するわよ!」というパターンでは請求できないのです。

というのも、不倫は、夫婦の貞操義務に違反する違法な行為です。不倫相手も、不倫という違法行為に加担したわけですから(共同不法行為といいます)、夫と同じように妻に対して責任を負います。みずから違法な行為をしておきながら、その行為により傷ついたからといって、慰謝料を請求しても、裁判所は相手にしてくれません。ですから、どんなに辛い思いをしたとしても(たとえ、夫の子を妊娠したとしても)、不倫相手は夫に対して原則として慰謝料請求することはできません(例外は、「妻と別れて君と結婚したいと言われ・・・」をご参照ください)。

事例のケースでは?

では、このケースも同じでしょうか?このケース、たしかに不倫ですが、彼女は、彼が妻子持ちであることは知りません。完全に独身だと思い込んでいて、自分が不倫をしていることの自覚がありません。

このように、女性が、男性が既婚者であることを過失なく知らなかった場合、女性は、男性に対して貞操侵害を理由に慰謝料請求できる可能性があります。また、妻は、夫に対しては離婚も求められるし、慰謝料請求もできますが、夫の不倫相手である女性に対しては、慰謝料請求ができません。というのも、この場合、女性は不倫をしているという認識がないので、妻に対する不法行為とは言えなからです。

結局、この場合、男性は、妻からも彼女からも慰謝料請求をされる立場にあるわけです。不倫であることを彼女に隠してしまったために、彼女からも慰謝料請求されてしまうのです。不倫をするなら、オープンに?いやいや、そもそも不倫なんかしてはいけません。

ところで、この男性、自分が既婚者であることを隠したうえで、相手の女性に対して、「結婚しよう」などと言い出し、婚約指輪まで渡しています。この場合、結婚している男が、さらに結婚することは重婚になりできませんから、婚約は法的には無効になります。したがって、相手の女性は、男性に対して、婚約破棄を理由とする慰謝料請求はできません。しかし、独身の男性が結婚の約束を破った場合に、婚約破棄を理由に損害賠償請求ができるのに、既婚の男が、うそをついて独身だと偽って結婚の約束をし、それを破った場合に、損害賠償請求ができないのでは、あまりにも不均衡です。したがって、相手の女性は、夫に対して、貞操侵害を理由とする慰謝料請求が可能だと考えられます。

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