高等裁判所は、生まれた子どもと夫妻の幸せを最優先させました。かなり柔軟な判断をしています。 |
高等裁判所はこう考えた!
最高裁判所と逆の結論を出した東京高等裁判所は、こんなふうに考えました。まず、民法では、妻が出産した子でなければならないという規定があるけれども、これは100年以上前の時代に作られた規定であるから、医療が発達した現代においては、そのまま当てはめられない。
次に、代理出産とはいえ、子どもは夫の精子と妻の卵子により出生しており、血縁関係(遺伝子のつながり)がある。また、妻は、子宮のがんによって、既に子宮を摘出してしまっており、代理出産以外に、夫妻の遺伝子を残す方法がなかった。
一方、代理出産契約の内容も特に問題はなく、また代理母も子どもたちと親子関係を取得することを望んでいない。アメリカの裁判所の「親子関係を認める」という判断を尊重したほうが、国際的な裁判秩序の安定に寄与する。
よって、夫妻に、子どもたちとの親子関係を認めることに不都合はなく、むしろ、そうしたほうが、子どもの福祉にかなう結果となる。
だから、出生届は受理されるべきだ。
つまり、個別的な事情を考慮して、子どもと夫妻の間に親子関係を認めてあげたほうがハッピーだろうし、それをしても不都合はないでしょう、ということです。
最後のページでは、最高裁判所がどうして出生届の受理を認めなかったのか、その理由について検討します。