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なんでダメなの?代理出産。(2ページ目)

子どもが欲しいのに、できなくて苦しんでいる夫婦にとって、代理出産は、自分たちの子どもを授かる最後の手段といえるでしょう。代理出産に関する、最高裁判所の判断について考えてみました。

酒井 将

執筆者:酒井 将

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代理出産が認められるかどうかは、アメリカでも州ごとに異なっています。代理出産を認めない州もあります。

どういう事案だったの?

本件の事案は簡単に述べるとこういうことです。

夫妻は、アメリカ合衆国ネバダ州の裁判所において、自分たちの受精卵を使用して、アメリカの代理母が産んだ子ども(双子)が、自分たちの子どもであることの決定をもらい、ネバダ州からは子どもたちの出生証明書も正式に発行されました。これを受けて夫妻は、日本で、夫妻の子どもとして、出生届を提出しました。

ところが、日本の法律では、妻が分娩(出産)した子でなければ、妻と子の間に親子関係が認められないことになっているため、役所は出生届を受理しませんでした。そこで、夫妻は、これを不服として、裁判を起こしたわけです。

裁判のポイントは?

さて、この裁判、どうして高裁と最高裁で結論が真逆になってしまったのでしょうか?

ポイントとなったのは、外国の裁判所が出した決定を、日本でも受け入れることができるかどうか、という点でした。具体的に述べると、アメリカの裁判所の決定にしたがって、代理出産で産まれた子どもと親の間に、親子関係を認めることが、民事訴訟法118条3号の「判決の内容が日本における公の秩序又は善良の風俗に反しない」と解釈できるかどうかです。

次のページでは、まず、出生届の受理を認めた東京高等裁判所の判断について見てみましょう。
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