環境先進国・ドイツ
分別さえすれば、365日24時間、ゴミが出せる。色別のガラスびんと、靴用リサイクルステーション(c)Tania Kadokura |
タニア:
「ドイツ=エコな国、というイメージがありますが、昔からそうだったわけではないんです。現にドイツは、今も化学薬品の製造大国でもある一面を持っています。しかし、1970年代に、ドイツの誇る「黒い森」(=シュヴァルツヴァルト。ドイツ南部に広がる広大な針葉樹林、日本でいえば富士山のような存在)が酸性雨のために消滅の危機に瀕した時期がありました。それを転機として、国民的にエコロジーの機運が高まり、今に至っているのです。そのベースには、ものを大切にする国民性があると思います」
スーパーのペットボトル用デポジットシステム。返金分、お買い物がお得に(c)Tania Kadokura |
消費のサイクルが違う!
ドイツでは、消費のサイクルも、日本とは違っているようです。たとえば日本では、週末の過ごし方は「買い物」という人が多いですが…。ゴミは24時間出せるけど、買い物の時間は限られている(c)Tania Kadokura |
「ドイツでは、日曜はほとんどの店が開きません。土曜は夕方まで開けている店が増えましたが、少し前までは、昼で閉めてしまっていました。店舗は、水曜だけ長く営業するとか、わずかな特例があるくらいなので、消費者はそれを見越して上手に買い物をしなければなりません。スーパーも、閉まるのが早いので、残業して買い物なんてなかなかできません。その代わり、朝はいやに早くから開いているので、出勤前に買い物を済ませたりすることもあります(笑)。24時間365日店が開いている日本からドイツに行くと、その違いについていくのがタイヘン!
一見不便に見えるこの営業時間の規制の真の目的は「労働者に人間らしい生活を送らせるため」。規制がゆるくなって真っ先にしわ寄せを受けるのは経済的弱者だから、だそうです。なんだか、現代日本を揶揄されているような気がしてなりません。
バナナも卵も1個から買える。包材は自分で持ってきてもよい(c)Tania Kadokura |
「ただ、そんなドイツでも、日曜営業が許されている店があって、それは公共交通機関の中にある店舗のほかには、ケーキ屋さんやお花屋さんといった、社交に必要なモノを売るお店。友人や家族が、互いを訪問するときに手土産になるようなものを売る店は開けていいんです。日曜日は、そのための日ですから」