桜の名所というとどこを思い浮かべますか。
東京なら上野公園や飛鳥山。
関西なら京都の醍醐に奈良の吉野など。
どれも心を揺さぶるすばらしい桜ですが、
私が強い印象を胸に刻んだのは、
埼玉県幸手(さって)市にある権現堂堤の桜。
菜の花畑から権現堂堤の桜を眺める。写真は2004年4月5日撮影 |
いやあ、見てください!ソメイヨシノの霞のような淡い色彩と土手を埋め尽くす菜の花が圧巻だと思いませんか。
堤の上は桜の回廊。映画のロケもこのあたりで行われたようです |
埼玉 権現堂堤で圧巻の桜を愛でよう
埼玉の桜というと、あまり聞き慣れないかもしれませんが、この桜は北野武監督作品「dolls」にも登場した桜。映画では幻想的な、神が宿っているような神秘的な桜でした。権現堂堤は、国道4号線沿いにある利根川の支流、権現堂川沿いの長さ1キロほどの堤です。
江戸時代には、関東エリアの天領を治めた代官・伊奈備前守親子三代による利根川の付替え工事等が行われ、河川を利用した水運により、権現堂河岸は江戸と上流域を結ぶ流通の要地として栄えました。また日光社参や参勤交代のための日光御成道と日光道中が合流し、筑波道が分岐する地点の宿場町として賑わいました。
権現堂堤というので、「権現堂」というお堂があると期待して行ったのですが、実は川の名前で、お堂はどこにもありません。
かつて「熊野権現神社」が付近にあったらしいのですが、見つけることができませんでした。
大正9年には、権現堂堤の延長6キロに3000本のソメイヨシノが植えられ、関東の桜の名所となったそうです。
戦前の隆盛時は遠く静岡あたりからも花見客が見えて大変な賑わいを見せたのですが、太平洋戦争末期に薪として伐採されてしまいました。
満開の頃はかなりの人で賑わいますが、広々としているのであまり気になりません |
今、目にする桜は昭和24年に改めてソメイヨシノが植樹されたもの。距離も、堤が道路拡張、川の廃川などにより、1キロに縮小。
それでも、もとは権現堂川の河岸だったところに、地元の人たちが菜の花を植えたおかげで、他の桜の名所にはない、薄ピンクと黄色のすばらしいコントラストが楽しめます。
私は愛犬とともに、1キロの堤をのんびりと往復。堤の上には露店も出ますし、桜の咲く堤と菜の花の間に腰を下ろして、お弁当を食べるのもよし。
映画の雰囲気とはまた違った、明るく清々しい春の風を感じられます。
都心からは1時間半ほど。
春の一日を過ごすのには、とってもいいところですよ。
また、2006年3月25日(土)~4月9日(日)まで第75回幸手桜まつりが開催。
期間中は、物産展やドッグランコミュニティ事業が開催されるほか、文化団体連合会の発表会、さくらふれあいまつり、さくらマラソン大会などの行事が行われます。
場所 権現堂桜堤
問合せ 商工観光課 電話0480(43)1111内線593
この絶景の桜をぜひその目で眺めてみてください!
<データ>
■開花情報は幸手桜まつりサイトでチェックを!例年は4月3日前後が見頃のようです。
■住所:埼玉県幸手市大字内国府間地内
■交通:電車/東武日光線幸手駅下車徒歩30分または、幸手駅より五霞町役場前行きバスで15分、「権現堂」下車徒歩1分
車/東京方面からは国道4号線を利用。または東北道久喜ICより14キロ。権現堂堤周辺に臨時駐車場が数カ所設置されますので、誘導に従ってください。駐車場1日500円
■Yahoo!地図情報
★2006年3月8日更新情報
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