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米国ディズニーで働く体験!─鉄板シェフ編(2ページ目)

アメリカ本場のディズニー・ワールドで13ヵ月間働くプログラムに参加し、日本ではあまり馴染みのない鉄板焼きのシェフとして働いていた実渕さんの体験談。接客業の難しさや楽しさをお話してくれました。

執筆者:すずき ゆき

「自分らしさをいかに出してゲストを楽しませるか、パフォーマンスを学びました」

アメリカ三越で働く、ディズニー・ワールド
常にゲストに気を配る、鉄板シェフという仕事
『The三越カルチュラル・リプレゼンタティブ・プログラム』に参加した人たちは、ディズニー・ワールド内にあるエプコットセンターの日本館にある販売部かレストラン部で働くことになります。実は、このレストランは2007年秋に大リニューアルをしたばかり。オープン以来の大規模改装だそうで、今までよりもさらに日本館全体でおもてなしのサービスを徹底しているとのことです。お辞儀や立ち居振る舞いから見直され、日本のサービス精神を常に意識してゲストの前に立つことが要求されます。鉄板シェフとしてデビューした実渕さんは、こうした立ち居振る舞いにも常に気を配りながら、ゲストを迎えます。

「6週間の研修期間では基本的な素材の焼き方を学びます。素材のカットの仕方から、どのタイミングで何を焼けばいいのかなど焼き具合の方法などです。ようやく焼くのに慣れた後は、実際にお客様の前で調理をスタートし始めるのですが、まだまだ先輩たちのようにパフォーマンスをするところまではできません。その後3~4か月、先輩たちのパフォーマンスを見ながら徐々に覚えていくんです。」

この鉄板焼きレストランで人気のパフォーマンスには、こんなものが。ミッキーマウスマーチの歌をBGMにして胡椒シェーカーを振りながら踊ったり、焼いている時にウッカリえびのしっぽがシェフの帽子に入っちゃった、なんていうおどけたパフォーマンスもあります。特に人気なのが、オニオンの輪切りを山盛りにし、そこに油とお水を入れて熱々のところから煙が立ち上り、シェフの一声「Volcano!!(火山)」というパフォーマンス。大盛り上がりでゲストから拍手があがることも多いそうです。

「こうしたパフォーマンスには、シェフの人柄がでるんです。めちゃめちゃ明るいノリで盛り上げちゃう人、寡黙なんだけど調理が上手くてゲストの目を釘付けにする人、気配り上手な人は会話しながら、すご~くうまくテーブルにいるゲスト同士の会話を弾ませちゃうこともさらりとやってのけます。パフォーマンスはテーブルの雰囲気を察知しながら、その場その場で臨機応変に対応しながらやらなければなりません。先輩の中には朝練までしていた人もいるくらいです。パフォーマンスを期待して来店して来てくださっているゲストも多いので、私もずっと自分らしいパフォーマンスができているか、本当にゲストが楽しんでくれているか、常に考えながら仕事していました(笑)」

「人を楽しませる、サービスの真髄を体験しました!」

一見人目を惹くパフォーマンスですが、実はそれ以外にシェフの仕事にはゲストに悟られないような小さな小さな心配りが常に必要なのだと実渕さんは話してくれました。

「一つのテーブルに8~10人ぐらいのゲストが座るんですが、たいていはお互いが知らない人同士のグループ。ファミリーで来ている人やカップルの人、会話好きの人もいれば、そうでない人、国籍が違う場合もあります。まずはそうしたゲストの様子を見て会話を進めます。いろいろ話しかけてくださるゲストもいるのですが、あまり一つのグループの相手ばかりしていては良くないですし、場の雰囲気はテーブルごとに決まり、それを左右するのはシェフのホスト術なんです。

加えて、それぞれのゲストのオーダーが違うのは当たり前ですよね。「Volcano!!」で盛り上げたいんだけど、オニオンのオーダーが入らなかったり(笑)、オーダーの内容でパフォーマンスの種類も変わるので、盛り上げ方のレパトリーをたくさん持っている先輩はとても上手でした。」

「こうした周囲への配慮を常に持ちながら、同時に素材を焼くのがとても難しかったですね。ゲストのお皿が空く頃を狙って次の素材を焼かなければなりません。早く焼きすぎると素材が冷めてしまい美味しくないですし、あまり遅すぎてお皿を空にしてお待たせしてしまってもダメですし。テーブルによって鉄板の癖もあるんですよ(笑)。こっちは右側が熱いとか、手前側の温度が低めだとか。そうした鉄板の癖を見極めて焼かないと、調度いい焼き具合に仕上がらない。会話しながら、パフォーマンスのことを考えながら、ゲストのお皿をチェックしながら、焼きの具合をみてと、本当に心配りが大切な仕事だと、働き始めて実感しました。」

焼きすぎてしまったとか、お出しするタイミングが遅すぎたかなとか、ゲストが本当に楽しんでくれていたのかなど、真面目な人柄の実渕さんは、悩むことも多かったといいます。

「私は悩んじゃう方なので、焼き方で失敗して落ち込んだ時に自分の気持ちのモチベーションを上げなきゃ、と自分に言い聞かせていました。特に、目の前で食べていただくので、緊張すると同時に感激する一瞬でもあります。表情で美味しい顔をしてもらえると本当にうれしい! コメントカードに『美味しかった』とか『楽しい時間を過ごせました』などと書いてもらえると悩みも吹き飛びましたね。お客様に励ましてもらっていたようなものです(笑)」

ゲストが目の前で自分が今作ったものを食べてくれる、パフォーマンスした時に目の前で笑ってくれる、本当に楽しんでくれているんだと会話しながら判る、レストランの仕事でここまでお客様と近い仕事は他にはないんじゃないかと実渕さんは言います。

「鉄板シェフという仕事は接客業の中でも特にハードルが高い仕事なのではないかと思います。人の笑顔を見るのが大好きですし、接客という仕事が大好きです。今回、この鉄板シェフの仕事をさせてもらえて、接客することの難しさや大変さを体験させてもらえました。周囲の上司や先輩たち、皆に助けられて、すごく沢山のことを学べて、本当に感謝しています!」

次のページは実渕さんの好きな休日の過ごし方、「日本を紹介するボランティアに参加!」
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