■ドーム天井の頂からもれる光
ちょうどここは時代で言うとトロネとシルヴァカンヌの中間ね。あれ、聖堂に入った感じが今までとちょっと違うね、何でだろ?
「上を見てごらんよ。十字架の中央に当たる所の天井が明るいんだ。ヴォールトが交差する部分がドームになってて半球状の頂に鐘楼をのっけてるよ。ぶら下がっているロープを引けば鐘が鳴るし、光がその穴から入ってドームの天井に反射するから、まるで天国から啓示を受けたような雰囲気になるね、良い演出だと思わないか?」
ほんとだ、厳かだよ。本陣の両側は2つずつロマネスク様式の祈祷所が並んでいかにもシトー会らしい配置になってるね。ちょっとゴシックを取り入れた尖塔アーチの先からドームに移るあたりの造形も見事だよ。
「東側の壁にもある明り取りの窓もロマネスクだね。上のステンドグラスはシトー会様式の車輪の形だ。本陣の南側に並ぶベンチまでがめったに中に入れない信徒達が唯一入るのを許された場所だって。南の2つのドアがその入口だよ。じゃ、コリドールのほうに行ってみようか。」
■回廊に続く祈りと書写の生活
このコリドールは明るいね。トロネの厳格さや質素さがどこかに行ってしまって、明るく華やかになってるよ。柱頭も壁も装飾でいっぱいだし外界から仕切られた感じは無くって開放感がいっぱい。