ここはもうリュベロンのすぐ南、デュランス川の湿地帯に広がる元はアシの原の真中なんだね。シルヴァカンヌ修道院って三大シトー修道院の中では一番新いんだ。(といっても1144年より建造開始)場所柄もトロネに比べるとずっと町のにおいがするよね。いちおうバス停もあって交通の便もちょっとまし、とにかく入ってみよっか。
INDEX
■ゴシックの芽吹き
■尖塔アーチとリブヴォールト
■高く明るく
■ロマネスクからゴシックへ
■シルヴァカンヌ修道院お役立ち情報情報
■ゴシックの芽吹き
トロネを見た後だと入口からして装飾的、たった2~30年の違いってこんなにすごいんだ。柱の頭にはどこにもシトー会のシンボル、アシの葉を彫刻した飾りがついてるし、のっぺりしたデザインが少なくて柱の出っ張りもまあるくやさしいデザインだね。
「おいおいでっぱりってそれ、補強リブのことだね。ここに来て一番に感じるのはトロネより高く明るいことだね。そのでっぱりがすごく効いてるんだよ。トロネにも四角い無骨なリブがあったけどここはちょっとおしゃれなリブが交差してたくさんついてるだろ。それにアーチの頂上がとんがっていてずいぶん高く見えるよね。このおしゃれな補強のおかげでアーチもぐんと高くできる。もちろん開口も広く取れる。閉鎖的なロマネスクばかりじゃなくって、少し世間に開かれた開放感を表現するためのゴシックの工法が使われてるんだよ。」
■尖塔アーチとリブヴォールト
「北フランスではそろそろ世俗的な大聖堂があちこちに作られ始めてて、たくさんの一般信徒を受け入れる為の高くて広い空間を持ったゴシック建築が流行りだしたんだけど、すでにもうここでも取り入れられてるんだね。」
なるほど本堂はトロネみたいに3つに別れてるけど、それぞれが高い天井でつながっていてどれも見上げるようになってるね。