フランス/フランスの観光・世界遺産

「星月夜」、糸杉と渦巻きの出現(ゴッホその2) サン・レミでのゴッホ

アルルでのゴーギャンとの生活に破綻し右耳を自ら削ぎ落としてしまったゴッホはより良い環境を求めてサン・レミの聖ポール療養院に転院、ますます制作に没頭しついに生まれた名作「星月夜」

執筆者:赤木 滋生


INDEX
  ■サン・レミの聖ポール療養院
  ■街路樹を抜けムーゾール修道院へ
  ■鉄格子からの風景
  ■渦巻き、糸杉そして「星月夜」
  ■ヴァン・ゴッホ センター
  ■サン・レミでのゴッホお役立ち情報


■サン・レミの聖ポール療養院
アルルでのゴーギャンとの生活に破綻し右耳を自ら削ぎ落としてしまったゴッホは精神状態がますます不安定となりより良い環境を求めてサン・レミの聖ポール療養院に転院したのが1889年の3月。

翌1890年5月にオーベール・シュール・オワースに移るまでの1年余りの間治療に努めつつ燃える思いをキャンバスにぶつけ、描いた作品は150点あまり。昔ながらのプロヴァンス風の落ち着いた村はオリーブ、あやめなどの庭から見える草木はもちろん村に至る街道や野山などそそられるモチーフにあふれ、彼の絵には一大転機が表れました。

その年の初夏に描かれたのが激しいタッチの名作「星月夜」。満点にきらめく星は渦巻く雲やゆらめく糸杉をあおりたてるようにぎらぎらとひかり見るものの目に突き刺さります。本来ならばのんびりとした村の風景も庭に咲く花も彼のキャンバスにはわき立つような情熱とともに力強く自己主張しているかのようです。

□聖ポール療養院(Saint Paul de Mausole)
Avenue Van Gogh
現在はゴッホの病室や回廊も公開されています。入場料は3ユーロ。団体割引あり、身障者は無料。ツーリストオフィスから説明つきツアーも出ています。(市役所南、駐車場脇のツーリストオフィス発3ページに詳しい情報が)


街路樹を抜けムーゾール修道院へ
プロヴァンスは麦やオリーヴ、ぶどう、ひまわりなど様々な種類の畑が果てしなく続き、さえぎるもののない道には延々とプラタナスが植えられています。夏は日陰を、冬から春にかけては冷たいミストラルの強風をやわらげてくれます。

サン・レミの町をレ・ボー方面へ向かうと右手に古い古いローマ時代の石のモニュメントが見えてきます。その少し手前の細い道を斜め左、東南の方に進めばロマネスク風の修道院が見えてきます。ここがゴッホの滞在先、聖ポール・ド・ムーゾル修道院を利用した精神科の療養院です。

実際に治療が行われている病院として、以前はけっして内部を見せてはもらえなかったのですが、最近になって観光行政からのプッシュもあり病室と教会や庭の一部を見ることが出来るようになりました。
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