少女Aは、突然、何が起こったのかわかりませんでした。火花が散ったかと思うような痛みと、思わず頬にやった手で、平手打ちをされたことに気がつきました。
声も出せず息をのんで事態をのみこもうと考えるまもなく、また男の手が飛んできました。やめてと避けるように両手を顔の前に持っていくと、今度は脚を蹴られました。しゃがみ込む彼女に容赦なく男は蹴りを入れ、げんこつで平手で殴りかかります。獣のようなうめき声を出しながら、男は少女Aを蹴り、殴り続けました。
繰り出される男の手と足蹴りに悲鳴をあげることも出来ないまま、打ちのめされた彼女は男に犯されました。(殺されるかもしれない…)と恐怖に脅えてショック状態の彼女に、抵抗する力はもはやなかったのです。
男が欲望を満たした後で、壁の方を向いてエビのように身を丸めた彼女の耳に、入ってきたのは何かを切り裂く音でした。「ザクッ、ビリビリ、ビー」と音が続きました。
恐くて、男の方を見ることができないでいると、今度は、「ガチャン、ガタン、バキッ」と別の音がします。男の荒い息づかいと、切り裂く音と何かを壊すような音がおさまったと思うと、やがて男は部屋を出て行ったようでした。
しばらくすると部屋の電話が鳴りました。フロントからで
「お連れ様は帰られましたけど、お客様はチェックアウトまでいるのですか」とのことだったので、
「ああ、はい」とだけ答えました。
(男はいなくなったのだ)安堵して周りを見渡すと、散らかった室内で目に入ったのは…