楽しいお出かけ先でノロウィルスを貰ってこないようにしたいですよね。ガイドの経験的な要注意ポイントは、動物園やデパート、駅などの「トイレ」、それも手洗いの水栓部分です。手を洗ったキレイな手で、この水栓をひねってしまうことで、再汚染されてしまう可能性が? 自動水栓のトイレでも、ドアの鍵などを触ります。充分気をつけるようにしてください。 |
子ども絡みでこのノロウィルスにこの3年で6回も罹患しているガイドの経験も踏まえ、主にノロウィルスと家の中で対峙するコツをお伝えしたいと思います。
1.ノロウィルスのもたらす症状と惨状
ノロウィルスの潜伏期間は、およそ36時間(1~2日)です。抵抗力のある大人などでは、「漠然とした不快感」のみといった症状で済むこともありますが、多くは嘔気を感じたり、嘔吐・下痢・腹痛をともなった突発的な症状に見舞われるようです。
乳幼児に罹りやすく、流行りやすいのは、子どもは大人のように嘔気のコントロールが効かず、場所を問わずにゲリラ的に嘔吐するため。この嘔吐物や失禁した下痢などの始末の際に親も罹患、しかる後ドミノ倒し式に家族全員ダウン……というパターンは何度繰り返しても悲惨です。
とはいえ、多くの場合はそれほど悪化せず概ね2~3日で快癒します。
2.ノロウィルス上陸前にしておきたい準備
■容易に洗濯できない(クリーニング店などへの持込が必須の)大型の「ラグ」「ソファカバー」「クッション」等は取り外しておいたほうが無難。
インテリアや美観の点で抵抗を感じる方もいると思いますが、その上に吐かれてしまうと難儀です。
できれば感染シーズンが終わるまで撤去して保管するか、仮にその上で嘔吐された際に容易に洗濯のできる別の布カバーなどを施しておくことをお勧めします。また、クリーニング店への持込の際には密封した上で正直に申告してください。この嘔吐物のノロウィルスは、気温5度の環境で30日間生き続けるというデータがあり、感染力を有しますので、クリーニング店の人をも感染させてしまう可能性があり、迷惑です。
■「次亜塩素酸ナトリウム」の入った消毒剤(家庭用では、キッチンハイターなど)を準備しておくこと。
■使い捨てゴム手袋、大型ゴミ袋などを用意しておくこと。
3.ノロウィルスに感染してしまったら
ノロウィルスは主に「経口感染」します。ならばマスクで口を塞ぎ、手洗いを励行し、生の貝類の摂取を控えれば万事OKのように思われますが、どんなに気をつけていても、外食の際にノロウィルスに汚染された食べ物に当たってしまうこともあり得ます(生野菜サラダ、サンドウィッチなど、加熱されずに供される食べ物に注意)。
また、公共スペースのじゅうたん・カーペットなどに付着したまま乾燥した嘔吐物を吸い込んでしまうことによる「空気感染」(塵埃感染)も指摘されており、気が抜けません。
基本的に、家族の誰かが感染してしまった場合には、
■嘔吐物は密閉して廃棄すること。
トイレで嘔吐・下痢した場合でも、飛まつが床や壁やドアノブに付着している可能性があります。
トイレ掃除に使用する雑巾などは、再利用するものではなく、使い捨てのお掃除シートやウエスなどが適しています。これらも使用後、密閉して廃棄しましょう。
廃棄の際に、「次亜塩素酸ナトリウム」をかけておくとより安心です。
ただ、この掃除の際に注意しなければならないのが、、通常の感覚であれば、消毒用エタノールや逆性石けん(病院などで殺菌消毒の為に使われているような石けん)を噴霧したり、これで手を消毒したりということが有効と思われますが、「ノロウィルス」に対してはほとんど効果がみられないということを認識しておかねばならないということです。
消毒を意図するのであれば、以下の洗濯同様「次亜塩素酸ナトリウム溶液」を使用しましょう。ただし、床材や建具によっては、腐食したり変色したりする恐れがあるので、よくよく考えて自己責任において使用してください。
■嘔吐物の付いたものを洗濯する場合には、予洗いの後、次亜塩素酸ナトリウム溶液(塩素濃度約200~1000ppm)に漬け込んで消毒した後に、洗濯すること。
■洗濯物は部屋干しを避け、また屋外に干すよりも乾燥機を使い高温度で乾燥させること。
■乾燥機が無い場合には、乾燥後、スチームアイロンをかけると安心。
次亜塩素酸ナトリウムを使わない場合には、
■85度以上の湯で、1分間以上の熱水洗濯、後に乾燥機にて乾燥すること。
洗濯できない、または取り外しの難しい畳の上やカーペット上に吐かれてしまった場合には、
■手袋をして充分拭き取った後、乾燥してしまう前に熱湯をかけて1分以上放置すること。その後に念入りに拭き取ります。
熱湯をかけることも、次亜塩素酸ナトリウム溶液をかけることも都合でできない場合には、
■嘔吐物が乾燥した後にも飛び散らないよう、拭き取った場所の上にビニールシートなどをかけて密閉すること。このまま、ウィルスが死滅するまで、1ヶ月以上保存しましょう。
※「ノロウィルス」に感染した家族との、手拭タオル等の共用は止めましょう。
※「ノロウィルス」に感染後、症状が治まっても、その糞便にウイルスは3日から1週間ほどもの間、排出され続ける点に注意しましょう。
ノロウィルスに罹った家族のいる住まいのトイレ掃除、また、ノロウィルスに家族の誰かが罹患した住まいへの訪問(特にトイレの使用)の際には、充分な手洗いと清潔なタオルでの手拭きなどを心がけましょう。
【参考サイト】
●厚生労働省 「ノロウイルスに関するQ&A」
「ノロウィルス」に関する基礎的な情報を得たい人は必読。いたずらに恐れず、正しい知識で対策を講じましょう。
●国立感染症研究所 感染症情報センター 「ノロウイルス感染症」
「ノロウィルス」に関する疫学的データが網羅されています。突っ込んだ情報を得たい人に。