「住まい」の役割は本来イロイロ。ただ寝て起きてご飯食べるだけでは、文化の香りもナシ…。ちょっとそれじゃあ、さびしい。 |
「社交場」としての住まい。
「住まい」には雨露しのぎ、休養し、子育てする場としての役割のみならず、「社交の場」としての意義もまた、あります。最近ではめっきり少なくなりましたが、結婚式やお葬式、法事などの人寄せごとは、ほんの数十年前まで専門の式場やホテルなどではなく、「自宅」で執り行われるのが普通でした。
そのためにはある程度の広さのあるスペースが住まいには必要とされます。普段は茶の間や寝室に使いつつ、「もしも」の時には家具を取り払って大広間にすることも出来る、畳の部屋のもつフレキシビリティが発揮される「二間続きの和室」に、いまだ年配の方や地方に住む方がこだわりをもたれる所以ですが、最低限の居住スペース自体に余裕のない都市部に住む者にとっては、「社交の場」としての意義など、じっさいには二の次三の次になりがちだったりします。
しかし、やや湿っぽい「人寄せごと」をイマドキな「ホームパーティー」という言葉に置換するだけで、不思議な魔力が生まれます。住宅展示場などでの営業トークにも多く出現するキーワード、「まずは新築披露パーティー、そして季節ごとの“ホームパーティー”も気軽に開ける、開放感あふれるリビング」なんて、いかにも憧れを誘うもの!
……でも、家を建てたからといって、突如ホームパーティー気質になんて、なれるものでしょうか?
……そもそも、「すごく広いリビング」や、「ゲスト専用のパウダールーム」などのない普通のマンションや、一戸建ての住まいであっても、「ホームパーティーを開くこと」自体は、何にも妨げられないのでは?
そもそも、ホームパーティーという催しは何故開かれるのでしょう? 素敵なわが家を見せびらかす目的? それだけでは、さすがに二度、三度と多くの人が大切な時間や手間をかけてまで、集まってはくれませんよね。
わざわざ会場を「ホーム」に置くのです。そこには「アットホーム」な雰囲気があることが大前提、社交の場でありつつも、生きた住まいというものの持つ「くつろぎ感」がなければ意味がありません。そういうリラックスした空気のもと、気のあう仲間が集い、おしゃべりを愉しんだり、おいしいものを分け合って食べ、お酒を飲むなどしながら、楽しい時間を共有する!
これぞ「ホームパーティーの真髄」なのではないでしょうか。
ホームパーティーを開くことに、専門式場のような「ハードの条件」は、たぶん(ほとんど)ありません。
あるとしたら? 気配り、心構え、思いやりなどの「ソフトの条件」。
それらはきっと、住まいが持つ、いかんともしがたい欠点すら埋め合わせてしまうことでしょう。
と、いう身も蓋もない前提で、かつ「ホームパーティー向きな住まい」とはどんなものか? を、今回は考察してみたいと思います。
>>>All Aboutガイドがコラボ! それぞれの持ち場で「ホームパーティー」を斬ります! こちらもどうぞ併せてご覧下さい♪ [All About流ホームパーティをしよう!]
【INDEX】
■「ホームパーティー向きな住まい」の条件・その1……他人を拒絶していない住まい。
■「ホームパーティー向きな住まい」の条件・その2……普段から人の出入りを想定している住まい。
■「ホームパーティー向きな住まい」の条件・その3……不潔や危険、恐怖のない住まい。
■「ホームパーティー向きな住まい」の条件・その4……来客の都合を予測・対応できる住まい。
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