案外歴史の浅い「掘りごたつ」。一般に普及したのは昭和になってから。 |
こたつ発祥の秘密
こたつ。漢字で書くと『炬燵』。パソコンで文字を打って変換する分にはよいですが、いざ何も見ずに書け、といわれても困る感じの漢字です。我々が子どもの頃から慣れ親しんできたこたつは「電気こたつ」になりますが、元々は火を使う暖房器具のひとつでした。
その発祥は室町時代にまで遡るといわれ、暮らしの中で煮炊きにも使われた囲炉裏の炭の「火が消えかけた状態」で、その上にやぐらを載せて布団をかぶせたものが「こたつ」の原初的なスタイルといわれています。
その後、江戸時代には、囲炉裏ではなく火鉢のようなものの上にやぐら+布団というスタイルが採られるようになり、こたつは移動可能になります。
日本の住まいは元来、木と紙(や、泥や藁など)を使った、蒸し暑い夏にこそ過ごしやすい形態を採ってきたものです。その通気性のよさは裏返せば、冬の気密性のなさとなり、家中を暖める暖炉やオンドルといった海外の暖房の思想とは異なる「集中型」の暖房器具が求められ、また発達したのです。
こたつの中でも人気の高い「掘りごたつ」はしかし、より近年となる明治時代後期に、香港生まれの英国人 バーナード・リーチが考案したものというので驚きますよね。
「こたつ」がこの国で愛用されてきた陰には、気密性に乏しい住宅事情が大きく関与してきたことが伺えます。しかし、昨今の高気密なマンションなどの住まいにおいては、割合簡単に「全室暖房」が可能になってしまいました。
足の暖まる「頭寒足熱」を実行できるこたつの良さは知っていながらも、その魅惑により「動けなくなり」座ったままで居るゆえに周囲に「物が溜まりゴチャゴチャする」デメリットのほうが気になるし、そうそうのんびりしても居られない生活事情もある。
……ゆえに、「こたつ離れ」したい。「こたつのない生活」に、何か未来的な?暮らしの洗練を見てしまう。
そんな心理が私たちを「反・こたつ生活」に駆り立ててきたのだ……なんて言ったらうがち過ぎでしょうか。
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