シャンプー&リンスは時代を反映する
朝シャンブームの到来で、シャンプーは香り重視の時代へ |
昭和50年代に入ると、ピンクレディ、早見優、工藤夕貴など髪の美しいアイドルを起用したヘアケア製品のCMが続々と登場。「憧れのスターのような髪になりたい!」という観点から、シャンプー&リンスを選ぶ時代になりました。
シャンプーの消費量が爆発的に増えたのは、昭和60年ごろ。朝シャンブームの到来で、朝と夜の2回、洗髪する女性が急増したからです。それを受けて、シャンプーの香りを重視する傾向が強まりました。この頃から、シャンプーの多様化が始まり、各メーカーから様々な商品が発売され、現在に至っています。
かつては「しっとり」「サラサラ」など仕上がりが重視されていましたが、次第に「フケ・かゆみ用」にはじまり、「ダメージヘア用」「カラーリング用」など、髪の状態や悩みに対応するシャンプー&リンスが多く見られるようになりました。ヘアケア製品のパーソナル化は、そろそろ成熟期を迎えているのではないでしょうか。
シャンプー&リンスに求められるのは安全性
今後、ヘアケア製品は、より安全性が求められていくと思われます。人にも環境にもやさしいシャンプー、リンスの開発が、進んでいくべきではないでしょうか。しかし、人にも環境にもやさしいシャンプーを作ろうとすると、コストが高い原材料を使用しなければならないため、製品の価格の上昇が避けられません。消費者の側も、まだまだ安くて洗浄力のある製品を求める傾向があります。そのため、現在、メーカーのほとんどで、人にも環境にもやさしいシャンプーへの対応が遅れています。
水で流した後、成分が水に溶けていく資化性の良いシャンプーは、従来にものに比べると、あまり泡立たず、洗浄力も弱いのですが、人体への刺激は少ないのが特徴です。そのようなシャンプーを求める人が増えたため、数年前から、資化性の良いアミノ酸系のシャンプーを開発するメーカーが増えてきているのは、良い傾向だと思います。
環境にやさしい、アフターバストリートメント
環境面で言えばシャンプーだけでなく、リンスやトリートメントの使用も影響を及ぼしています。洗い流さないリンス、トリートメントを使用することが、環境にもやさしいのではないか、と思います。ここ数年、販売額から見ると、リンスよりもトリートメントを使用する人が多くなっています。昨年あたりから、各メーカーからアフターバストリートメントという、洗い流さないタイプのものが次々と発売されています。洗い流すトリートメントと比べ、より髪に成分が吸着するので、トリートメント効果を十分に得られるという理由から、消費者の人気も高まっています。髪にもよく、環境にもやさしい洗い流さないトリートメントが、もっと普及すればよいと思います。実は、究極のトリートメントの形は、乾いた髪にシュッっとスプレーするタイプではないか、と常々思っています。
資化性の良いアミノ酸系シャンプー、洗い流さないトリートメント──このような人にも環境にもやさしいヘアケア製品を、私たち消費者から求めていくことが、普及への第一歩となるのではないでしょうか。