新婚の夢と現実
お正月過ぎてしんしん冷える1月半ば。山手線某駅前の不動産屋を皮切りに、フニワラ夫妻は何軒もの不動産屋を渡り歩き、案内してもらい、地下鉄に乗り換えて少しずつ郊外へ後ずさりながら物件の吟味を続けました。
「あっちが立てばこっちが立たず」常に予算との睨み合い。じっさいエリアとしてはあと5万は上乗せしてナントカなるかという感じのいわゆる「東京城南地区」だったので尚更です。案内されるのは日当たりの悪い老朽マンション、じめじめしたアパートの1階、駅まで20分歩く団地などなど…。
すっかり「新婚の夢」を壊されたフニワラ(新妻)は初日、力なく実家に帰ったのです。(同じ金額出せば、地元なら新築マンション3DK駐車場付きなのになぁ)などとしょうもないことを考えながら……。
物件みつかる
2日め。再度上京し、更に一駅郊外へ向かったわれわれは駅前の古い不動産屋に入りました。受付カードの希望要件に「家賃8万円台」などとダメモトで書いてみたりして。すると恰幅のいいお兄さんが「ああ、でしたら3件ご案内できますけど、行って見ます?」と言ってすかざず3枚の物件コピーを見せてくれたのです。こわごわ覗き込むフニワラ夫妻。
1件め。その駅から徒歩3分ほどの、古い社宅を改造したようなマンションの1階。家賃8万9千円。日当たりは悪い!
広さは2DK、ちょっと懐かしいような雰囲気です(子どもの頃住んだなぁという感じ)。
2件め。駅徒歩15分。起伏の激しい道を高級住宅地方面に向かっていった、社員寮街にあり、お風呂が南向き!の3階。
フローリングというより「板間」と言いたいような飴色の板張りのコンクリート住宅で、周辺には子どもがいるお宅が一杯ありました。ただ日がいまいち…東向き。家賃は9万円。
そして3件めは、駅から徒歩11分の古い商店街の真ん中にある、雑居ビル風マンション。1階は八百屋さんで、向かいには定食屋、豆腐屋、和菓子屋、魚屋、おでんだね屋等々という下町情緒あふれる街並。
部屋は変わっていて、一見ひとんちのベランダを歩いて部屋の玄関に辿りつく寸法なのです。リフォーム済みで今まで見た物件の中でピカイチの綺麗さ。4階建て4階。西向きで、日差しはバッチリ、しかも3方向開口の角部屋でした。そして家賃は8万5千円。
また、地下鉄駅のほか、JRの駅も使える2駅利用可物件だったのです。その駅を使えばフニワラ(夫)はなんと通勤15分。夫婦は目を合わせ……即決!