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インスペクターとしてホテルを愉しむ(3ページ目)

一体どんな項目でホテルの評価が行われているのか。ホテルインスペクションの裏側を、2007年のオープン以降話題のホテルニューオータニ東京「エグゼクティブハウス禅」を例にとり解説する。

村上 実

執筆者:村上 実

ホテルガイド

インスペクターとしてホテルニューオータニ東京をみる

禅カウンター
「ホテル イン ホテル」という新発想のラグジュアリーホテル、禅
それでは実際のホテルインスペクションの実態を紹介してみよう。舞台はホテルニューオータニ東京。2007年、本館に登場した「エグゼクティブハウス禅」。億単位の改装費を掛けてブラッシュアップされた客室はフルウィンドウで大パノラマの眺望が楽しめる。全体にシックなインテリアで統一され、アメニティグッズに至るまで実にきめ細かな繊細な気配りが見て取れる。

チェックインは、特別フロアーのカウンターで。センスの良いラウンジでのチェックイン時には、間髪を入れずにドリンクサービスが受けられるのだが、その間ニューオータニのリピーターかどうかのチェックを選任スタッフが行なっている様子だ。

ピエール・エルメ
現代フランスを代表すると言っても決して過言ではない、天才ピエール・エルメ
ここでのチェックの重要テーマはエグゼクティブラウンジの機能とサービス。朝食で無料提供してるピエール・エルメのクロワッサンについては、さすがに詳細な説明(パリのフィガロ誌で世界一のクロワッサンと称された、ここでしか食べられない逸品)がある。

4ミールサービス(無料で時間帯ごとにメニューを変えてサービスしている)の内容はスナックからオープンサンドまで多彩な構成。飲み物も上質なメニュー構成で、ワインやスピリッツ、ウィスキーまでセンスを窺わせる。

客室
フルウィンドウの客室で、高層の夜景とは一味違う景色が楽しめる
客室はスタンダードでも5万円以上と、都内では外資系高級ホテルと遜色ないレベル。新しいコンセプトが随所に導入されているなか、最も目を惹いたのがフルウィンドウ(天井から床まですべてガラス窓になっている)で、素晴らしい眺望が楽しめるという点。

ティーバッグの日本茶はブランド日本茶で有名な「一保堂」を採用するなど、きめ細かなところでインパクトのあるマーケティングを行なっている。

客室のハード面では、窓枠にエアーコンディショナーを配備してフレッシュエアー(外の空気を取り込む空調システム)が取り込めるようになっているのは、海外の高級ホテルではスタンダードなので、これは重要なインスペクションテーマとなる。

世界的に言われている、ホテル全体のインスペクション項目は平均で400項目にも及ぶ。だがその場合の対象には、客室、レストラン&バー、宴会場、ロビーなどのパブリックスペース、駐車場、プール、テナントなどが含まれる。今回の場合はレストランの対象が少なかったので、チェックすべき項目は全部で276項目と言えよう。

ここだけは見ておきたい、10のポイント

ここでホテルゲストになった時に注目して頂きたい「10のポイント」を挙げてみると……。
1. ホテルに電話をした時にコール3回以内で電話に出たか
2. 館内のレストランをはじめとする各施設について精通しているか
3. “本日のイベント”をどの部署のホテルスタッフでも熟知していたか
4. 客室の空調は正常に稼動しているか
5. 枕のリクエストに3種類以上で応えてくれたか
6. バスルームのリネン類(タオル)の追加で満足すべき量が提供されたかどうか
7. ルームサービスが10分の誤差以内でデリバリーされたか
8. クリーニングの仕上げが指定通りに仕上がっているかどうか
9. レストランの予約が希望通りに取れたかどうか
10.忘れ物の連絡が3日以内に届いたかどうか

ホテルに泊まる際に、是非ホテルのインスペクターになった気分で、いろいろとチェックをしてみるのも新しいホテルの楽しみ方になるのでは。

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