予約で始まる、ホテルのインスペクション
そこで、今回のホテルのインスペクションについて、“裏側”の話を披瀝してみたい。まずは予約。最近はインターネットでの予約が流行りだが、ある程度のレベルのホテルになれば、やはり自分でホテルに直接電話を入れてみるというのが妥当なところ。この予約電話でのホテルスタッフとのやり取りからホテルのインスペクションは始まる。「宿泊日と料金だけを確認すれば良し」、こういうホテルはまず期待出来ない。これは宿泊特化型ホテルであれば問題ないが、やはり客単価が3万円以上というようなホテルであれば、何気にホテルゲストに対してあれこれ嗜好をお伺いするというセンスが求められる。
■例えばどんな質問が理想的なのか……。
- チェックインは大体何時頃になりますか。お車でしょうか、電車のご利用でしょうか?
- ご夕食のご予定はいかがですか?
- ビジネス面での何かサポートが必要であればなんなりとおっしゃっていただければ……。
- フルーツでお好きなものは?
- 枕は固めがお好きですか?
- 新聞は何をお読みになられますか?
- 本日、○○レストランでは特別メニューで××イベントを開催しています。もし、宜しければご予約をさせて戴きますが。とても人気があって予約が取れにくい状況にありますので……。
- 夕方、5時から○○バーでハッピーアワーをやっておりますので、是非お楽しみを戴けましたら。今回はカリブ海がテーマで、ラムの素晴らしいカクテルがお楽しみ戴けます。
- スパのご利用を予定されているようでしたら事前にお知らせください。今日は夕方から予約が相次いで入りお待たせをしてしまう心配がありますので。
- 翌朝の朝食はインルームブレックファーストをお奨めいたします。リノベーション(改装)の終わったこのお部屋での朝食はとても人気がありまして、お奨めしています。高層階ですから眺望も天気ですと本当に素晴らしい、そうお客様からお褒めの言葉を戴いています。
最終的には「客層」がポイントに
2007年秋にオープンしたエグゼクティブハウス 禅も話題のホテルニューオータニ |
こうした世界的なコンソーシアムの場合、世界各地にホテルインスペクターがおり、それぞれの国や土地の特徴を完璧に把握しているスタッフが、新規のメンバーホテルに出向いて徹底したホテルインスペクションを行なっているという。
ここからが今回のトピックス。実は、ホテルインスペクター歴30年という大ベテランのスタッフから聞いた話。
「どういうところに一番のポイントがあるか。実は客層なんです。施設やサービスはある程度のレベルにありますから。問題は客層。この客層が我々が意図するような客層であるかどうか、これが最大の関心事です。東京の場合は結構な高級ホテルでも案外若い客層が頻繁に利用しています。ラグジュアリーブランドのホテルではやはり40代以上のアダルト、シニア層がメインの客層であることが望ましいわけです。若い方々には元気はありますが優雅さに欠けるきらいがあるので」。
この話には驚かさせられる。「客層」、確かに言われて見れば、その通りであろう。結局、ホテルの良し悪しは客層ということになるのだから。
次のページでは、ニューオータニ東京の実態をみてみよう。