オリンパス、脅威のテクノロジー - 手ぶれ補正機構
三脚を使わずにライブビューで撮影する場合、ファインダーを覗いてホールディングするのに比べて不安定になりがちだ。しかし、E-3には高性能な手ぶれ補正機構が搭載されており、これをフォローしてくれる。もちろん、通常のホールディングでもフォローしてくれるが。
▲E-510では4段分とされていた補正機能をさらに強化してきた。 |
メーカー公称では最大で5段分の補正能力があるという。これは恐ろしいまでの能力である。通常、手ぶれを起こさずに撮影できるのはレンズの焦点距離にもよるが、おおよそ1/60秒から1/30秒といったシャッター速度とされている。
ここでは1/60秒であるとしよう。ここから5段分補正できるとは1段で1/30秒、2段で1/15秒……5段では1/2秒でもほぼ手ぶれを起こさずに撮影できるということになるのだ。
正直、最初にこの話を聞いたときには眉につばをつけてしまったものだ。
手ぶれ補正機構の能力については、レビューの度に何度も書いているのだが客観的なテスト方法が存在しない。毎回、筆者は手ぶれ補正機構を持つデジカメに対して1/8秒テストというものをやっているのだが、これも主観的なテストに過ぎない。
再現性がないためだ。
それでもとりあえず、12-60mmのワイド端でいつもの1/8秒テストをやって30枚ほど撮影してみたが26枚、やや甘く見れば28枚までOKが出せるものであった。
最大で5段分の補正能力があるというのも、表現として決して大げさではないというのが感触だ。
今回は望遠レンズではチェックしなかったのだが、300mm相当でも1/10秒前後のシャッター速度で撮影できるということになる。
その他の注目点など
・ダストリダクションシステムフォーサーズではおなじみの超音波フィルターを使用した、撮像素子についたホコリ落とす機能。
各社ともにこれに追随した機能を追加してきているが、フォーサーズ陣営のものがもっとも性能がいいと言いきってしまっていいだろう。
今回も数本のレンズをとっかえひっかえ使用したのだが、少なくとも目立つホコリは見つけられなかった。
・防水防滴機能
シーリングが施されており、防滴防塵仕様となっていることに注目するユーザーは多くはないだろうが、決して少なくはないはずだ。
ただし、レンズによってはシーリングに対応していないものもあるので注意が必要となる。
・メモリーカード
採用しているメモリーカードはE-410/510などと同じでコンパクトフラッシュとxDピクチャーカードとなり、ダブルスロットを搭載している。
▲デュアルスロットを採用しているが、xDの容量増加はあるのだろうか……。 |
xDピクチャーカードは容量増加が2GBで止まってしまっている。基本的にはコンパクトフラッシュで撮影し、xDピクチャーカードは内蔵メモリ扱いとして入れっぱなしにしておき、非常用として使用するというようなスタイルにするといいだろう。
・バッテリーライフ
バッテリーライフはボディ内蔵の手ぶれ補正機構を搭載しているにもかかわらず、CIPA準拠で610枚という数字を確保している。
2日間、持ち歩いて丸々使用してもまだ余裕があった。かなり余裕のある設計になっている。
▲E-1などで使用されているBLM-1を継承している。 |
・縦位置シャッターユニット
また、縦位置シャッターユニットはE-1のもののように専用バッテリーではなく、本体と同じバッテリーを2本使用するものとなっている。使い回しが効くので、ありがたい仕様になった。
なお、この縦位置シャッターユニットは単三電池も使用できる。
▲縦位置シャッターユニットを合わせるとかなりのヘビー級。 |
▲基本はBLM-1を2個。ただし、単三電池x6でも使用できる。 |
フラグシップの名に恥じない完成度
別途にニコンのD300、ソニーのα700を触る機会があったのだが、E-3はそれら他社の中上位機に劣るところはないように感じた。今回、E-3を使っていて感じた大きな不満はひとつ。
液晶ディスプレイを見ながらリアルタイムで被写体を追うことのできる、ライブビューにおけるいわゆるAモードを搭載していないところだけであった。
高速なAF性能、大きなファインダー、フリーアングルLCD、ライブビュー、そしてボディ内手ぶれ補正機構に防塵防滴。
現在、オリンパスが投入できるかぎりの性能をデジタル一眼レフに投入してきたといった、まさにフラグシップの名に恥じない完成度を誇っているといっていいだろう。
(オリンパス E-3 実写画像&スペックへ)