時給8ドルでアルバイト。文化を通じてハワイに貢献
相楽さんがアルバイト中のギャラリー「ナチュラリー・ハワイアン」 |
「お店の外観がとてもユニークだったので立ち寄ったら、中は本格的なギャラリーとギフトショップだったんですね。オーナーのパトリックさんとお話している内に、実は絵画教室もやっていて、日本人の生徒もいるんだけど、うまくコミュニケーションが図れず困っているというようなことを言われました。ならば、私が日本語を教えてあげるから、変わりに私に絵を教えて、というバーターをすることになったんです。」
お母さんが画家でありながら、一緒に過ごす時間も少なく、また病気がちだったこともあり、絵を教えてもらう機会はまったくなかったという晴子さん。ハワイに来て目覚めた芸術家マインドを育てる意味でも、絵の基礎技術はぜひ学びたかったそうです。
はじめは絵を学ぶために通っていた彼女ですが、その内、人手も足りないということで、ショップの仕事も手伝うようになったというわけです。
画家に絵を習いながら、アートの世界へより傾倒 |
華やかな世界でスクリーンの向こう側にいた彼女が、ワイマナロのギャラリーのお店番をする光景は想像が難しいかもしれません。が、まったく気取ることなく、素顔のままで暮らしている彼女を見ていると、とても自然なこととして受け止められることができます。
「ハワイに来てから、私はやはりこの土地固有の文化の魅力にひかれていきました。娘もフラを習い、地元の公立高校に通っていますが、ハワイの人々に対して貢献できることを何かしていきたいと考えているんですね。彼らの文化を理解し、私なりに表現したり、伝えたりすることが、そのひとつになっていけばと願っています。」
夢は自給自足のアーティスト村暮らし
家族で過ごす時間が何よりもかけがえのないもの、という相楽さん |
「カメラに向かう立場で過ごした10数年の経験は、彼の仕事をサポートする上で、絶好の機会だったんですね。皆と反対側の現場方向を見てきた私だからこそ、誰がどんな役割を果たし、各人がどう動けばクルーが効率的に、そしてクリエイティブに機能するのか、よく見えていました。」
現在は、アルバイトの他、ご主人を支えながらの撮影コーディネーション、プロデュース業、そして自らの名でエッセイ執筆、ウエディング写真、ジュエリー・デザインなどを職業としている晴子さん。
エッセイの執筆も撮影コーディネーションも自宅がベース |
ハワイに来たことは、相楽さんにとって、一家にとって、正解だったのでしょうか。
「自然と親しみながら、肩肘張らずに仕事と家庭を両立させることができるのも、ハワイという恵まれた環境にいるせいだと思って感謝しています。大きな家やたくさんの物質に囲まれた生活とは正反対の暮らしをしていますが、それが私たちにはしっくりくるんですね。」
では、相楽さんの将来の夢は?と尋ねると、こんな答えが返ってきました。
「私ね、夢は自給自足で暮らすアーティスト村みたいのに住むことなんですよ。」
環境破壊や食糧危機が問題となる中、手付かずの自然が残された場所で、自分たちの食糧は自分たちで作りながら、それぞれが創造したアートに囲まれて暮らすという生き方が理想とか。さらに、今後はアジアやオセアニア、アメリカ西海岸、メキシコなど、太平洋を拠点と考えて、さまざまな可能性を広げていきたいと、微笑みながらご主人と語っていらっしゃいました。
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