ネット直販や有料サービスが
日本の市場にフィットするか
ただし日本でLCCが成功するかどうかは、意見の分かれるところ。疑問視する理由の一つは、海外では航空会社が自由に料金を設定できるのに対し、日本では国土交通省の認可が必要なため航空会社が料金のイニシアチブを取れないことです。またジェットスターはインターネットを活用した直販ルートでのチケット供給でコスト削減を進めてきました。
「その点、日本では国際線チケットは代理店経由で予約するという人がまだまだ多いですからね」と、ある旅行エージェンシーの担当者も言います。「直販が日本人利用者の間に根づくかは、もうしばらく様子をみる必要があるでしょう」
ほかに食事やドリンク、アメニティキット、機内エンターテインメントサービスなどを有料にするLCC独特の手法がどこまで日本人に受け入れられるかなど、クリアしなければならない課題は少なくありません。
ジェットスターCEO、アラン・ジョイス氏は、就航直後のメディアとのインタビューで次のように答えています。
「現在の円/豪ドルの為替相場からすると、オーストラリアから日本への訪問は魅力的な時期になっています。3年前にジェットスターがオーストラリアでサービスを始めてからの調査では、利用者の10%が『飛行機は初めて』と答え、また『飛行機に搭乗する機会が増えた』という人も全体の2割から3割に達しました。日本の旅行者にとってもオーストラリアは人気の訪問先であり、LCCならではのサービスが多くの人たちの旅行機会を増やす結果につながることを望んでいます」
08年には日本路線に
ボーイング787投入も
ジェットスターは関西/シドニー線にエアバスの双発ワイドボディ機、A330-200を使用。「スタークラス」と呼ばれるビジネスクラス38席とエコノミークラス265席の計303席で運航しています。またカンタスグループが2008年に受領する45機のボーイング787のうち、ジェットスターには12機が割り当てられ、日本路線にもこの最新鋭機が投入される予定です。
2008年に受領するボーイング787も日本路線に投入予定 |
この日のJQ18便には、9名のキャビンクルーが乗務していました。内訳はオーストラリア人3名、タイ人4名、日本人2名。日本人クルーはわずか2名ですが、機内に流れる次のアナウンスが日本からの旅行者たちをホッとさせます。
「当便には日本人乗務員のほかに、日本語を話せるクルーが胸に日本語のバッヂをつけて乗務しています。ご用の方はお気軽にお申し付けください」
客室乗務員のチーフは、アンジ・トロウサーさん。陽気なオーストラリア人らしい、とてもフレンドリーな人です。「取材に必要なことがあれば、何でも言ってくださいね」と親切に申し出てくれました。
スタークラス担当のメリッサ・ウィークスさんも同じオーストラリア人ですが、彼女はとても流ちょうな日本語をあやつります。
「青森県で以前、小学校に入学前の幼児たちに英語を教える教師として2年間を過ごしました」とウィークスさん。「日本の人たちはとっても親切で、その2年間は楽しかった思い出ばかり。青森は私の第二の故郷だと思っています」
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