フィジーとずっと関わっていたい
そんな希望から日本人通訳の仕事を選択
クルーたちはみんな子供みたいで……。そう言いながら、大野さんが彼らに向ける眼差しの“温かさ”が印象的でした。フィジアンクルーたちは日本人好きが多く、日本線をリクエストして乗務する人も多いそうですが、大野さんのほうもクルーたちをとても信頼しているようですね。
「フィジーの人たちに囲まれているとホッとします」と大野さん(中央) |
大野さんがエア・パシフィック航空で通訳の仕事に就いたのは、いまから1年前です。それ以前はフィジーでダイビングのインストラクターとして働いていました。フィジーという国と、そこで暮らす人たちと、ずっと関わっていたい──そんな思いから新しい活躍舞台に選んだのが、いまの仕事なのです。
「日本人通訳は現在、私を含めて4人が勤務していますが、みなさん経歴はさまざまですよ。共通しているのは、それまでにも何らかの形でフィジーに関係していた人ばかりだということ。フィジーの人は、明るいし、優しいし、彼らに囲まれて生活しているとホッとします」(大野さん)
人々の中に流れる“フィジー時間”に
身も心も委ねてみてほしい
行きのフライトでは、在フィジー日本国大使館の特命全権大使、滑川雅士さんともいっしょになりました。ちょうど休暇を終えてフィジーに戻るところだったようです。以前はタイのバンコクにも2年ほど勤務していたという滑川さんは、地域による文化・風習の違いなどにも触れながら、フィジーの魅力を次のように話してくれました。
クルーはみんな人なつこく、誰にでもすぐに話しかけてくる(左)。行きの機内ではフィジー駐在大使の滑川雅士さんにもインタビュー(右) |
「アジアのようなきめ細かなサービスという面では、もしかしたらフィジーでは期待できないかも知れません。フィジーの魅力は、それとはちょっと違うと思うんです。そこで暮らす人たちの大らかさ、あるいは優しさとでもいうのかな。初めてフィジーを体験する人は、彼らの中に流れる“フィジー時間”に、どうぞ浸ってみてほしい。日本人の生活にしみついた、忙しくて慌ただしい日々を忘れて、フィジーに身も心も委ねてみる。そうすれば、フィジーの人たちの本当の心がきっと伝わると思います」
そしてフィジーの心に触れた人は、フィジーが大好きになって、必ずまた戻ってくる──前にフィジー大使館の駐日全権大使、ラツー・イノケ・クンブアンボラ氏から聞いたそんな言葉が私の脳裏によみがえりました。
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