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エア・パシフィック航空の“スマイルDNA”(3ページ目)

南太平洋の楽園フィジーと日本を結ぶエア・パシフィック航空。同エアラインの他社に真似できない個性と魅力を探るため、成田発FJ303便に搭乗しました。そこには、新しい発見と驚きが!

執筆者:秋本 俊二

家族づれの輪の中に入り込み
子供たちを大笑いさせるクルーも


FJ303便は定刻どおり、成田空港を19時に出発しました。離陸してベルト着用サインが消え、しばらくするとドリンクサービスに続いてミールサービスが始まります。

エア・パシフィック航空のファンの間では、この機内食メニューも人気の一つです。タンブーア・クラスのメインディッシュは和食を含む4種類の中から、パシフィック・ボイジャーでは2種類から選択。成田からタンブーア・クラスで出発する男女のカップル(20歳以上)にはスパークリングワインのフルボトルのサービスもあり、青森から新婚旅行で来たという泉田泰志さん・和子さん夫妻(1ページ写真)も楽しそうにグラスを重ねていました。

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人間が大好きなフィジアンクルーたち。サービス中も笑顔を絶やさない

私のシートのすぐ前では、トレーの詰まったワゴンを通路に止めて、けらけら笑って乗客と話し込んでいるクルーがいます。その向こうには、ガイドブックを手にした若いグループに呼び止められているクルーも。旅行先でのおすすめ情報などを聞かれているのかも知れません。そして後方のキャビンでは、別のクルーが家族づれの輪の中に入り込み、小さな子供を大笑いさせていました。

人が大好きなフィジアンたちに
スマイル・トレーニングは必要なし


「ああやってお客さんに積極的に関わるように、クルーたちは訓練を受けているの?」と、私は日本人通訳の大野妹子さんに訊いてみました。「本来の仕事をストップして、みんな平気で油を売っているようにも見えるけど」

「訓練? まさかァ。違いますよ」と、大野さんは笑いながら答えます。「フィジアンクルーは、人が乗ってくるとみんな嬉しくてしょうがないんです(笑)。とくに子供が大好きですね。子供が相手だと、まるで自分たちも子供になったみたいに、楽しそうにはしゃいじゃって……」

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優しい男性クルーも機内では人気者(左)。この日のフライトに乗務していた日本人通訳の大野妹子さん(右)

実際、フィジーの人たちは小さな子共に対してとても面倒見がいいと聞きます。ファミリーを生活の基本単位とするフィジーでは、宿泊施設でのキッズプログラムなども充実。家族での旅行でも、小さい子供はベビーシッターが24時間世話してくれるので、夜は夫婦だけでプールサイドのバーでゆっくりお酒を楽しんだりもできる。ベビーシッターに子供を預ける生活が定着しているアメリカ人の中には、何度もフィジーを訪れ、お気に入りのベビーシッターを指名するケースも少なくありません。米国のビジネス&旅行誌『コンデナスト・トラベラー』の人気投票では、フィジーの人たちは「世界で一番ホスピタリティにあふれる国民」と評価されました。

「保安要員としての訓練はどのクルーも徹底して受けていますし、サービスについてもスタンダードの部分は教育されますが、現場でどう対応するかは基本的に一人ひとりに委ねられています」と大野さんは続けます。「彼らにはスマイルの練習やもてなしのレッスンは必要ないですね。成田からナンディまでの8時間半のフライトを、どうエンターテインするか。相手が何を望んでいるかを一人ひとりが察知し、一人ひとりの考えでそれに応えていく。そうでないと、人とふれ合うのが大好きなフィジアンクルーたちの持ち味も発揮できない気がします」


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