ところが現場のCAたちに話を聞くと、乗客のタイプにもいろいろあるようですね。あるCAは言います。「お客さまには常に心からのサービスでもてなしたいと思っています。でもときには、ちょっと避けたくなるような人もいて──」と。いくらサービスすることが仕事だとはいえ、あまりにも失礼な態度をとられた場合には、その気持ちもわかりますよね。そこで、これまで日本やアジア、欧米のエアラインを利用しながらCAたちに聞いた「本音」を集めてみました。
── Page Index ──
【P.1】 日本人乗客に多い「真面目な優等生」タイプ
【P.2】 “おもいやり”の気持ちをCAたちは敏感に感じ取る
【P.3】 彼女らが機内で出会った忘れられない乗客とは?
【P.3】 乗客とのふれあいをCAたちも待ち望んでいる
飛行機の中での日本人は
真面目な優等生タイプが多い
「日本人のお客さまは、真面目で優等生タイプの方が多いですね」
ニューヨークへ向かう便の中で以前、アメリカ人CAたちとそんな会話を交わしたことがあります。真面目で優等生──うん、たしかに。日本人乗客に対して同じような感想を持つCAが、とくに欧米系のエアラインに多いようです。ヨーロッパ系エアラインに勤務する日本人CAも「そうですね。日本人の方は、わりと大人しいという印象です」と話していました。
真面目とか優等生というよりは、この「大人しい」という表現のほうが当たっているかも知れません。読み終えた新聞はきちんと畳んでラックに戻し、出たゴミは袋にまとめ、食事が済んだあとの食器もきれいに重ねて返却してくれる──なるほど、ここまでは「真面目な優等生」という言葉がぴったりでしょう。そんな日本人乗客には、多くのCAたちが好感を持つようです。しかし「大人しい」という評価はどうでしょうか。その表現には多少、批判の意味が込められているようにも感じます。
「あれが欲しい」「これを頼む」と何度もひっきりなしに注文されたり、「頼んだのに来るのが遅い!」などと騒がれて文句を言われるよりは、大人しいタイプのほうがCAたちも対応しやすいのはたしかです。けれど、おしぼりを手渡しても無言、飲み物を尋ねられても一言もしゃべらずにワゴンの上のペットボトルかコーヒーポットを「これ」と指差すだけ──そういう日本人乗客の態度には、欧米人の中には「何か不満があるのだろうか」と誤解してしまう人もいるようです。もちろん当の本人は、英語が苦手というだけのことなのでしょうが。
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