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「コクピット・アート」への招待

高度1万フィート。まさにコクピットでしか出会えない雄大な風景が、キャンバスで幻想的な世界に生まれ変わります。絵筆をとるのはJALの現役フライトエンジニア、上田哲也さん。その素顔と作品を紹介します。

執筆者:秋本 俊二

コクピットでしか出会えない感動をアートに


777 TAIPEI
台北上空、高度3,000フィートからの風景を描いた「上田哲也ワールド」の一例
まずは、右の作品をご覧ください。

キャンバスに描かれているのは、高度3,000フィートの上空から見た台北の夜景です。絵筆を取ったのは、JALの現役コクピットクルーである上田哲也さん。上田さんは1万2,000時間の飛行キャリアをもつフライトエンジニア(航空機関士)として、いまも世界の空を飛び続けています。

世界中の空から見た感動を多くの人に伝えたい──上田さんはそんな気持ちから絵を描き始めました。フライトを終え、ステイ先のホテルに着くと、上田さんが真っ先にとる行動はスケッチブックの新しいページを広げること。その日の感動が消えないうちに、書き写しておくのです。

そうして持ち帰ったスケッチを華麗で幻想的な作品に仕上げる作業は、横浜の自宅にあるアトリエで進められます。横60センチ×縦33センチの真っ白なキャンバスに、下書きのスケッチと実際のコクピットの図面を見ながら、計器類の針のリアルな動きまでがアクリル絵の具で細密に描かれていきます。

上田哲也さん
「リチャード・カイ」のペンネームをもつJALの現役フライトエンジニア、上田哲也さん
「コクピットの計器に針を書き入れるのは一番最後の作業です」と上田さんは言います。「描き始めるときには、まだ飛行機が上昇しているときなのか降りるときなのかを決めていません。その状況を選択し、コクピットの向こうに見える景色を決めてから、実際の数値などを調べて計器の針を書き入れていくのです」

コクピットの計器に針を描き込んめば、あとはエアブラシを使って最後の仕上げ。『台北ムーンライト』と題した上の作品は、ステイ先での風景スケッチから完成までにほぼ1カ月を要しました。

それでは、上田さんの代表的な作品を紹介しましょう。Web上「コクピット・アート」展のスタートです。上田さんにしか描けない魅惑の世界をご堪能ください。

── Gallery Index ──
【P.2】「ボーイング747」作品集
【P.3】「DC-6B」「DC‐8」「YS-11」作品集
【P.4】「コンコルド」作品集
【P.5】 Web作品展を終えて──“描く”ことと“飛ぶ”こと
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